青いお花はお好きですか?
「幸せの青い鳥」や「結婚式のサムシングブルー」(花嫁が何かひとつ青いものを身につけると幸せになれるという伝説)のように、「青」には人を魅了する不思議な力があります。
また、「女性はピンク、男性は青」というような色の持つイメージもまだまだ根強くあるものです。
という注文はびっくりするほど多いんです。
また最近はアイドルなどの「推しカラー」で青色の花を贈りたい人も増えているように思います。
でも実は、青い花って少ないし値段も高いし、ボリュームも出しづらくて結構難しいもの。
確かに青い花は神秘的でキレイ。青い色の色素を持つ花は自然界にとても少なく、だからこそ魅力的であるともいえます。
どうしても青い花束を贈りたい!というときのために、『花屋さんにある青色系の切花』を集めてみました。
1年中買える「青い花」はこの2種類
「デルフィニウム」の仲間
花屋で青い切花といえば「デルフィニウム」です。
年間通じてちゃんと青い花といったら、もうこれほぼ一択。デルフィニウムさまさまです。
くっきりとした濃い青から薄い水色まで、品種も豊富なのが嬉しいところ。
手ごろな花束に使いやすいのは枝分かれしたスプレー咲きの品種ですが、まっすぐ縦長に花がつくタイプの巨大なものもあります。
季節によって値段は変動しますが(高い時はけっこう高い)、年間通じて生産されている貴重な「青い花」です。
種類についての解説は、『【青い花】デルフィニウムの種類まとめ!3系統の違いがわかりますか?」』にまとめています。
水色の可憐な花が人気「ブルースター」
デルフィニウムが主演男優なら、主演女優は間違いなくブルースター。
薄い水色だけど、間違いなく「青系」です。
結婚式のブーケには「サムシングブルー」といって何か青いものを入れると縁起が良いのですが、それによく使われるのがこの花です。
絵の具で塗ったような、綺麗なパステルブルーがなんともロマンチック。
濃いブルーではありませんが、年間通じて生産されていて、ありがたい青系のお花です。
ブルースターについての詳しい記事はこちら。水色以外の品種もありますよ。
▶【切花図鑑】ブルースター(オキシペタルム)|花言葉・出回り時期・花もち・飾り方
ブルースターと呼ばれているこの花の名前、本当は「オキシペタルム」と言います。
「ブルースター」はオキシペタルムの中の1品種の名前。ところがこっちが通名みたいに使われるようになってしまったのです。
さらにややこしいことに、今は「ブルースター」という品種はあまり出回っていません。また、ピンクや白の品種も多く出回っており、”ブルー”だけではなくなっています。
正確な名前は「オキシペタルム」と覚えておきたいですね。
季節限定の「青い花」7種類
季節限定で出回る花のなかにも、青い花はあります。
年間通じては使えないけど、いい時期だったら旬も感じられてオススメです。
1.花言葉にはちょっと注意…「アジサイ」(初夏~秋)
青い花と聞いて日本人が思い浮かべるだろう花ナンバーワン、「アジサイ」です。
山や庭に咲いているイメージが強いですが、切花としても出回っています。もちろん天然に咲いた国産のアジサイは、5~6月のみ。
切花用には、オランダなどから輸入されたいわゆる「西洋アジサイ(ハイドランジア)」であれば、年間通じて手に入れることができます。
ただしお値段は高め。店頭価格では、1本2~3000円くらいすることもあります。
アジサイの花言葉には「移り気」というのがあって、贈り物の花束にするのはちょっとなあ…という人もいるので注意。
土壌によって花の色が変化するアジサイだからこそついた花言葉なんですが、大事な贈り物だったらちょっと考えてしまうかもですね。でも、青さではとっても綺麗な花です。
2.ふわふわ繊細な淡いブルー「ニゲラ」(初夏)
風に揺れる繊細な雰囲気が素敵な、野趣あふれる初夏の花、『ニゲラ』。青~水色の花色があります。
ふわふわした雰囲気でとても可愛らしく、野草っぽいナチュラルなアレンジによく似合います。花が終わりになるとバラバラっと散って散らかるのがやや難点。
主に初夏にしか出回らない、季節限定品の青い花です。
3.トゲトゲの丸い花「ルリタマアザミ」(初夏~夏)
かわいいトゲトゲまんまるな花、『ルリタマアザミ』。
”瑠璃玉”の名前のとおり、美しい青ですね。
主に6月~8月頃出回り、夏でもよく日持ちするいい子です。ドライフラワーにもなりますが、青がキレイなのはフレッシュな状態のとき。
▶【切花図鑑】ルリタマアザミ|花言葉・出回り時期・花もち・飾り方
4.青いアザミ「エリンジューム」(夏・通年?)
ルリタマアザミに似た感じのトゲトゲの花、『エリンジウム』。
本来は夏のものですが、最近は通年出回ってるように思います。すごく小さい品種から、ぼってり大きめのものまで、品種も増えてきて注目。
品種によって青色の濃さは様々ですが、青系の花に分類して良いと思います。
▶【切花図鑑】エリンジウム|花言葉・出回り時期・花もち・飾り方
5.秋の定番ブルー「リンドウ」(夏~秋)
秋の青といえば、『リンドウ』!
キレイな真っ青ですね。日持ちもするし、そんなに高くないし、青い花束には重宝します。
ちょっと和風なイメージがあるのと、仏花っぽいと思われてしまうのがやや難点。
初夏~晩秋まで長く出回りますが、時期によって出回る品種が変わっていきます。より濃い青を求めるなら、初夏~夏が多いように思います。
リンドウの切花に関しては、買ったけど咲かなかった!という誤解も多いので、『切り花のリンドウが咲かない?リンドウには、咲く種類と咲かない種類があるんです!』もチェックしてみてください。
6.和風の雰囲気にも。「アイリス」(11月~3月)
日本人にはなじみ深い、アヤメやショウブの仲間である『アイリス』。
咲くと確かに青系です。時期であれば安価で手に入りやすいのですが、花束にはちょっと使いにくい点があります。
それは、つぼみで出回り、咲いている期間が短いこと。
徐々に開いていくのを楽しむのにはいいのですが、つぼみだと青色も出ていないし、花束にはあまり使いません。また、日本ではやや仏花っぽいイメージがありますね。
それでも、開いていくのを楽しむ青い花としては良いと思います。
7.サイネリア(3~4月)
鉢物としてはメジャーな『サイネリア』ですが、近年では切花が出回り始めました。
ピンクや白などもありますが、出回る時期が送別会シーズンと重なるため、青系の品種がとってもありがたい。
価格もそれほど高くなく、3月の卒業・送別シーズンの「青い花束」にとても重宝する花材となっています。
▶【切花図鑑】サイネリア|花言葉・出回り時期・花もち・飾り方
染料で染めた「青い花」たち
青い花がとても少ないこと、おわかりいただけでしょうか。
それでも、テーマカラーや推しカラーで「青系のアレンジを!」という需要が多いのも事実です。
そこで最近多いのはコレ!特殊な染料を吸わせて青く着色している花ですね。
バラ、ガーベラ、カーネーション、菊、カスミソウなどは、すでに青く染められたものが市場に流通しています。
また、「切花を青く染める染料」も売っていて、お花屋さんが自分で染める場合もあります。
青い花は自然界で貴重だからこそ魅力的なのになあ…と思うけれど、わかりやすく青い花が欲しいとき(たとえばテーマカラーに沿っての制作など)には重宝します。
三森すずこさんの幕張公演宛にお届けしました!公演のイメージをお伺いして、人魚姫のイメージでモリモリ制作致しました!花びら舞うフローリッシュな海を表現したつもりです!! #ハナノキフラスタ投稿 pic.twitter.com/V6R9RETEzH
— オタクのためのお花屋さんハナノキ (@hananoki_flower) September 3, 2017
ちなみに、水も青くなるし、扱っていると手にも青い染料が付きます。飾るときには周りを汚さないか要注意。
青いバラについては、『青いバラは存在する?花屋が考える青いバラの魅力。』の記事にまとめています。
お花屋さんで買える『青い花』まとめ
それではまとめです。
・年間通して買える「青い花」は、デルフィニウム一択
・水色でよければ、ブルースター(オキシペタルム)もある
・季節ごとに出回る青い花もある
・テーマカラー重視でオーダーするときは、染めの花も選択肢に入れよう
以上、お花屋さんに並ぶ「切花」として流通しているお花には、他の色に比べて青い花というのはとても少ないのです…!というお話でした。おわかりいただけたでしょうか。
でも天然で青い花って、やっぱりキレイ。不思議な魅力がありますね。
青いお花にこだわって贈りたい場合は、ぜひ事前にお花屋さんに相談を。
男性だから…という理由でなんとなく「青」を選ぶなら、ほかの色味でその人に似合うものがないか再検討してみるのもよいのではないでしょうか。
この記事が、みなさまの素敵な花贈りの参考になれば幸いです。
送別会の花束にぴったりな花言葉をもつ花を集めました。こちらも参考にどうぞ。
>>【送別会 / 卒業式】花屋が選ぶ、送別に贈りたい花言葉をもつ花10選【感謝・お疲れさま・門出】
番外編:青系でも活躍「紫色」の切花たち。
青い花があんまりないときに、それでも青系の花束を!という注文に、花屋はどうするか。
紫系のお花を入れちゃいます。
そう、紫のお花は青い花に比べれば結構あるのです。濃い紫で重宝する切花をご紹介しましょう。
主役級の華やかさ「リシアンサス(トルコキキョウ)」
最近、バラにとってかわる勢いなのが「リシアンサス」。別名「トルコキキョウ」です。
八重咲きの品種は一輪でも主役級のボリューム感ですし、一重咲きの品種は繊細な印象。
白・ピンク・グリーンなどいろんな色がありますが、紫系の色もけっこう豊富で、ありがたい存在です。
年間通じて手に入ります。でも、冬などはけっこう高級です。
▶【切花図鑑】トルコキキョウ|花言葉・出回り時期・花もち・飾り方
色味を足したいなら「スターチス」
紫といえば「スターチス」。
ああ、あのドライフラワーになる花ね、というイメージでしょうか。
仏花の花に使われるイメージが強かったのですが、最近はドライフラワーで人気の花になりました。色がキレイなので、上手に使えばいい挿し色になります。
スターチスの仲間の、「ブルーファンタジー」などもボリュームを出すのに重宝します。
紫界のカスミソウ的ポジション。
▶【切花図鑑】スターチス|花言葉・出回り時期・花もち・飾り方
ガラスの仮面を思い出す?「紫のバラ」
青いバラは人類の夢…ですが、紫のバラは天然でけっこうあります。香りも良いものが多いのでおすすめですよ。
出回り量は他の色に比べて少ないですが、注文すればちゃんと手に入ります。紫の濃さもいろいろです。
ちょっと個性的。ランの仲間
独特の個性で好みは分かれますが、ランの仲間にも紫系があります。切花でよく使われるのはモカラやアランダ。
アランダの「チャックワンブルー」という品種や、「バンダ」と呼ばれるランが、紫のランとしては手に入りやすいかも。
その他、季節限定で出回る紫の花たち。
紫の花は割とたくさん種類があります。ざっと写真のみで紹介しましょう。
アネモネ(春)
ムスカリ(春)
ヒヤシンス(春)
チューリップ(春)
スイトピー(春)
アゲラタム(春・ほぼ周年)
スカビオサ(秋~初夏・ほぼ周年)
ブルーレースフラワー(ほぼ周年)
アガパンサス(初夏)
紫色も濃淡があって幅広いので、上手に青い花と組み合わせると「青い花」感が出せます。
青い花束にこだわりたい方は、お花屋さんに相談してみると良いでしょう。