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【鬼滅の刃】青い彼岸花はあったのか?ヒガンバナの歴史と人との関係について考える

鬼滅の刃 青い彼岸花

2016年から少年ジャンプで連載が始まり、2020年の劇場版では興行収入400億円を突破し、まさに国民的アニメになった『鬼滅の刃』

劇場版「無限列車編」では、炭治郎と煉獄さんの関係に涙した人も多いのではないでしょうか。2021年秋からはアニメ版第2シーズンもはじまり、まだまだ盛り上がりそうな予感です。

そんな「鬼滅の刃」の中で重要な植物として描かれるのが『青い彼岸花』

ヒガンバナはお花屋さんで扱う切花ではありませんが、花と植物の専門サイトのハナラボとしてはぜひ深堀りしてみたい…!と思ったので

・青い彼岸花はあるのか?

・物語の重要なパートとしてなぜ「ヒガンバナ」が選ばれたのか

・ヒガンバナと人間との関わり・歴史

などを考察してみたいと思います。

なお、本編とファンブックの内容を参照していますので、ネタバレが嫌な方はご注意くださいませ。

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鬼滅の刃における『青い彼岸花』とは

青い彼岸花注)写真の青は合成です…

鬼滅の刃は、人を食う鬼と、鬼を狩る鬼殺隊との戦いを描いた物語。

物語の中では、鬼も元々は人間。鬼の始祖である鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)が血を分けたとき、人間が鬼化してしまう…という設定です。

この、鬼の始祖である鬼舞辻無惨も、はるか昔は人間でした。

人間のころ身体が弱かった無惨様(あえて様付けで呼ばせていただこう)に、平安時代の善良な医者は『青い彼岸花』という薬を処方しました(この薬には実際に青いヒガンバナが配合されていたらしい)。

この薬がきっかけで無惨様は鬼となり、永遠の命を手に入れ、この世には鬼が誕生しました。

ところが鬼は太陽の光が弱点で、昼間に活動することができない。その弱点をなんとか克服するため、無惨様は1000年以上もの間「青いヒガンバナ」を探し求めている…というのが鬼滅の刃における『青い彼岸花』のストーリーです。

最終巻の後日談のなかで、現代において青いヒガンバナが発見されたことが描かれています。発見者は伊之助の子孫である嘴平青葉。

青いヒガンバナはなんと、年に2~3日、しかも昼間にしか花を咲かせない珍しい植物だったことが明かされています。なるほど、夜にしか活動できない鬼たちが見つけられなかったわけですね。

さらに、青葉のミスで採取していた青いヒガンバナはすべて枯らしてしまったというオチ。青いヒガンバナはこの世からなくなり、鬼が再び現れることもないだろう…ということでしょうか。


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「青い彼岸花」が登場するシーン

鬼滅の刃全23巻の中で『青い彼岸花』が描かれている回を集めてみました。

【8巻】67話「さがしもの」

初めて青い彼岸花の話が出てくるのは8巻。無限列車のすぐあと、猗窩座が無惨様に報告に行くシーンです。

猗窩座は「青い彼岸花は引き続き探しているがまだ見つからない」と報告して、無惨様にめっちゃ怒られています。

【5巻】39話「走馬灯の中」

青い彼岸花の話が出てくるより前に、ヒガンバナの描写があるシーンがあります。

那田蜘蛛山で下弦の鬼・累と炭治郎が対決するシーンで、死の淵に立たされた炭治郎は走馬灯を見ます。その中に、ヒガンバナの描写があるんですね。

これが青い彼岸花なのかどうかこの段階ではわかりませんでしたが、物語がすべて完結した今見返すと、「青い彼岸花だったんだなー!」と納得するシーンです。

【15巻】127話「勝利の鳴動」

刀鍛冶の里の戦いが終わり、鬼になっていた禰豆子が太陽を克服しました。これで青い彼岸花を探さなくても太陽が克服できる…!と無惨様は大喜び。

ここで、無惨様を鬼にした「青い彼岸花」がどんな薬だったかが描かれます。

無惨様は平安時代、人間だったこと。当時は体が弱く、それを治すために医者が調合してくれた薬がに青い彼岸花が入っていたこと、などが説明されています。

【23巻】205話「幾星霜を煌めく命」

すべての戦いが終わったあと、現代に生きる炭治郎たちの子孫の様子が描かれます。ここで、伊之助の子孫の植物学者が「青いヒガンバナ」を見つけたことがニュースになっています。

その後うっかり枯らしてしまって、青いヒガンバナはなくなってしまった、ということになっていますね。

「青い彼岸花」以外にもヒガンバナの描写がある!

マンガ「鬼滅の刃」の中には、無惨様が探している『青い彼岸花』以外にもヒガンバナの描写がところどころ見られます。見てみましょう。

【17巻】146話「誇り」

善逸が鬼となった兄弟子・獪岳と戦う回です。重傷を負った善逸は生死をさまよい、夢の中でじいちゃん(師匠)と出会います。

ふたりは三途の川をはさんで会話をしますが、その川のほとりにはヒガンバナが咲き乱れています。じいちゃんの方へ行こうとする善逸の足にヒガンバナがからまり、足を進めることができません。善逸がこの世に引き戻されることの暗示ですね。

【23巻】204話「鬼のいない世界」

最終回の1つ前のストーリー。鬼との闘いが終わり、生き残った隊士たちは再び前を向いて生きていきます。

このお話の扉絵には、たくさんのヒガンバナを抱える炭治郎が描かれています(カラーで見ると、赤いヒガンバナですね)。

死んでしまった柱たちを見送るような構図。抱えるヒガンバナの数は10本。死者にたむけるヒガンバナなのでしょうか。

本編完結後に発売されたファンブックの中で、「青いヒガンバナ」は炭治郎の家のすぐ近くに生えていたことが明かされています。炭治郎の母親・葵枝は青いヒガンバナが咲いている場所を知っており、幼い炭治郎も母と一緒に見たことがあったそう。(だから走馬灯で見たんですね…!)

そこは過去に、はじまりの呼吸を生み出した鬼狩り・縁壱の妻うたが埋葬された場所だったのです。

第1話で竈門家を襲った無惨様は、じつは青いヒガンバナのすぐ近くまで来ていたんですね。

ヒガンバナの歴史と効能

秋彼岸の頃、真っ赤な花を咲かせる

田んぼの近くにある群生地も多い。人が住む場所にのみ生える「人里植物」

ヒガンバナは、日本人にはとても馴染み深い秋の花。秋のお彼岸(9月中旬)頃に、田んぼの畔や墓地などで咲いているのを見ることができます。

日本で見る赤い花のヒガンバナは、

学名:Lycoris radiata
分類:ヒガンバナ科ヒガンバナ(リコリス)属
原産地:中国・揚子江周辺

秋になると地中からにゅっと茎をのばして花を咲かせます。この段階では葉がないので、地中から直接花が咲いたような不思議な印象を受けますね。

花が終わると葉が展開し、冬のあいだ緑の葉を茂らせて光合成をおこない、地下の鱗茎(球根のようなもの)に栄養をたくわえます。

春が過ぎ、夏前になると葉が枯れて休眠状態に。また秋に花を咲かせる…というサイクルで生活しています。

ヒガンバナも含めヒガンバナ属の園芸品種を総称してリコリスと呼び、園芸や切花として楽しまれているものもあります。

園芸でよく見るのは、白花ヒガンバナ(Lycoris albiflora)、ショウキズイセン(Lycoris africana)、ナツズイセン(Lycoris squamigera)、オーレア(Lycoris aurea)などがありますね。

強い毒性をもつ

墓地に植えられることも多い

ヒガンバナには強い毒性があります。特に地下の鱗茎は間違って口にすれば死に至ることも。

墓地に多く植えられているのは、死者を埋葬した際に野生動物などから遺体を守るためだったのではないかと言われています。

一方、外用薬としても古くから使われてきました。鱗茎をすりおろしたものを湿布のように足の裏に貼り、脚気・腎臓病等のむくみをとったり、肩こりや関節痛に使われたとか。

「ヒガンバナが薬として使われる」というのは物語の中だけでなく、実際の歴史なんですね。

日本人とヒガンバナの歴史は古い

ヒガンバナは中国から渡ってきた植物

ヒガンバナは日本原産の植物ではありません。

かなり昔の時代に中国から日本へ渡ってきたものと考えられていますが、詳細はよくわかっていないようです。地域によって別名も多く、日本国内に1000以上の呼び名があります。それだけ昔から、人とともにある植物なのでしょう。

自然分布で広がってきた説、人為的にもたらされた説があります。人為的にもたらされた説の中にも、縄文時代に食料としてもたらされた、または稲作と同時にもたらされたなどの説があるようです。

ヒガンバナの鱗茎には強い毒性がありますが、水にさらして毒を抜き、食料とすることができます。稲作が始まる前の時代だったとすれば、イモなどと同じく食料としてもたらされたのかもしれません。

実際、飢饉のときには里山に生えていたヒガンバナの鱗茎を食料にしたという記録も多くあります。いざというときに人々の命を救った救荒作物でもあったのです。

強い毒があるけれど、薬にもなり、いざというときは命を救う食料にもなる。

秋彼岸の季節に突然紅い炎のような花を咲かせ、里山を真っ赤に染める。

生と死、この世とあの世、人と鬼をイメージさせる神秘的な花であることは間違いありません。

無惨様が薬を処方されたのは平安時代という設定でした。平安時代には民間で薬として使われていてもおかしくないかもしれませんね。

ただ、古事記・日本書紀・万葉集などの古典の中にヒガンバナの記載はありません。おそらくその頃には日本にあったはずですが、歌に詠まれるような植物でなかったのか、忌まれてあえて描かれなかったのか…謎が多いです。

日本のヒガンバナは結実しない

日本に自生しているヒガンバナの染色体はすべて3倍体といって、花が咲いても結実しません。まれに種ができることもあるようですが、発芽はしないそうです。

日本のヒガンバナは、地下の鱗茎(球根のようなもの)が分球することでふえていきます。つまり遺伝的にはすべてクローンということですね。

それでも繁殖力は強く、いつのまにか群生地を作っていたりします。

花は咲くけど実はできない。でもいつのまにか分裂して増殖してふえていく…

これもなんだか、無惨様の血を与えられたものだけが鬼になり、不死の命を得る…鬼と不思議にシンクロしているような気がしますね。

中国に自生するコヒガンバナ(Lycoris radiata var. pumila)は2倍体の染色体で、結実します。中国には日本と同じく結実しないヒガンバナもあり、コヒガンバナもあるのだそう。

偶然うまれた3倍体が鱗茎でふえ、それが日本に渡ってきたということなのでしょうか。

青い彼岸花は実際にあるの?

青いヒガンバナは…ありません!

残念ながら「青色のヒガンバナ」は存在しません。(…おそらく)

いわゆるヒガンバナ(Lycoris radiata)は赤色。似た花を持つ白色ヒガンバナ(Lycoris albiflora)は白、ショウキズイセンやオーレアは黄色です。

ただ、青色の色素を持つヒガンバナ属の花として、リコリス・スプレンゲリー(和名:ムラサキキツネノカミソリ)があります。

リコリス・スプレンゲリー(Lycoris sprengeri)写真:ヒガンバナの博物誌より

リコリス・スプレンゲリーはピンクの花。だんだん咲き進んでくると、青みがかった色が出てきます。

青いヒガンバナ属の花…というとこれくらいですが、ちょっとイメージするヒガンバナとは違いそうですよね。スプレンゲリーは園芸用に球根が出回っているので、栽培して確かめてみると面白いかも。

お花屋さんに出回る「ヒガンバナ」の仲間

10~12月にだけ出回るダイヤモンドリリー

では、切花として楽しめる「青いヒガンバナ」はないのでしょうか。

お花屋さんに切花として出回るヒガンバナの仲間といえば、ネリネ(ダイヤモンドリリー)とリコリスです。

どちらも秋~冬の時期限定で出回り、ネリネはピンクや白、リコリスは黄色やピンクがほとんどです。(ネリネとリコリスの違いについてはこちらの記事に→よく似てる!「ネリネ」「リコリス」「ダイヤモンドリリー」、違いを説明できますか?

ネリネの一部は「ダイヤモンドリリー」と呼ばれ、花弁がラメをかけたようにキラキラと輝きます。出回るのは短い期間ですが、とても美しいので見つけたらぜひ手に取ってみてくださいね。

ちなみに、白いダイヤモンドリリーを青色の染料で染めるとこんな感じになるらしい…。鬼滅の刃の『青い彼岸花』に一番近いイメージなのはコレかもしれません。

まとめ:なぜヒガンバナが選ばれたのか

「鬼滅の刃」において、人を鬼に変えた薬の原料の植物として描かれる「青い彼岸花」。

ヒガンバナは、日本人にとって

・猛毒を持ち、彼岸の季節に血のような赤い花を咲かせる植物

・その毒は、埋葬した死者を野生動物から守ってくれるものであり、

・上手に使えば薬にもなり、

・特殊な方法で毒を抜けば、飢饉の際に命を救ってくれる食料にもなる

・花は咲くが種をつけることはなく、

・地下の鱗茎で殖え、生命力が旺盛で駆除しようとしてもどんどんふえる

恐ろしいけれど欠かせない、この世とあの世の境界を表すような植物だったのではないでしょうか。まさに鬼と人とをつなぐ花として、ぴったりの選択だと思います。

さらに「青い花」というのは自然界に大変少なく、希少なもの。

鬼が1000年以上もかけて探し求める花として、『青い彼岸花』はぴったりなイメージだなあ(ワニ先生さすが…!)と思いました。

ーーー

アニメ第2シーズンではいよいよ『青い彼岸花』についての話も出てきそうです。まだ読んでいない方もぜひ、出てくる植物に注目して読んでみてくださいね。

(藤の花についてもいつか考察したいと思います…)

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>一般社団法人奈良県薬剤師会:ヒガンバナ

 

 

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