初夏に旬をむかえる芍薬(シャクヤク)。お花屋さんでも5~6月には店頭を彩り、ブライダル花材としても人気です。
芍薬といえばピンクや白、深い赤などを思い浮かべる方が多いと思いますが、黄色いシャクヤクもあるのをご存じですか?
園芸的には見ることもあった「黄色いシャクヤク」。最近は切り花でも見かけるようになったので、入荷して咲き進む様子を観察してみました!
さらに調べてみると、黄色いシャクヤクが生み出される過程には日本人の育種家がかかわっており、世界のシャクヤク育種に大きな影響を与えた出来事であることがわかりました。
今回は、切り花として仕入れた”ボーダーチャーム”の紹介と、黄色いシャクヤクが生み出された歴史について見ていきましょう。
シャクヤク ”ボーダーチャーム”
今回仕入れてきた黄色のシャクヤクは”ボーダーチャーム”という品種。結構かたいつぼみだったので、ちゃんと咲くか心配だったのですが…
咲いたらボリューミー!!
花の中心の方に赤い色が入っています。
香りは甘酸っぱい、さわやかな香り。ピンクのシャクヤクとは違う香りですね。
牡丹(ボタン)と芍薬(シャクヤク)の交配
もともとシャクヤクには、黄色の花はありませんでした。黄色いシャクヤクを目指して行われたのが、ボタンとの交配です。
ボタンとシャクヤク、花はよく似ていますが、植物としては全く別の種類。(ボタンは木本性、シャクヤクは草本性です)
1200もの交配が試され、ようやくボタンとシャクヤクの交配に成功したのです。
ボタンとシャクヤクの交配種は『ハイブリッドシャクヤク』とも呼ばれています。
日本人育種家・伊藤東一の功績
この交配を成功させたのが、愛好家であった伊藤東一氏。1948年頃のことだったそうです。
ところが、この交配から育った苗木の開花を見る前に、伊藤は急逝してしまいます。苗木はアメリカの愛好家ルイス・スマーノウ氏のもとに渡りました。
この苗木から「イエロー・クラウン」「イエロー・ドリーム」「イエロー・エンペラー」「イエロー・ヘヴン」の4種が伊藤・スマーノウ交配種として登録され、黄色いシャクヤクが誕生したのです。
アメリカのシャクヤク協会はこの業績に敬意を表し、この交配種群を「伊藤ハイブリッド」と名付け、伊藤に賞を授与しました。
その後も世界中の育種家によってボタンとシャクヤクの交配は続けられ、いまでは100を超える品種が登録されています。
黄色いシャクヤクの登場には、ひとりの日本人のチャレンジが大きな影響を与えていたのですね。
もっと切花でも楽しみたい!黄色いシャクヤク
新しいシャクヤクを生み出そうとする愛好家たちのチャレンジが、黄色いシャクヤクを生んだのですね。
品種は色々あるようですが、まだまだ切り花としての出回りは少ない印象。切花に適しているか、栽培が容易か…など、切花として生産されるためにはハードルがありますからね。
今回購入したボーダーチャームは長野の生産者さんのもの。今後もぜひ、黄色いシャクヤクの切花を作り続けてほしいと思います。
みなさんもお花屋さんで見つけたらぜひ、手に取ってみてくださいね!
参考文献
美しい牡丹と芍薬の写真が満載。眺めるだけでも幸せになれる本です。
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