お花屋さんの業界誌と言えば、誠文堂新光社の『フローリスト』。
現在、隔月刊で発行されていますが、バラエティに富む充実した内容になっています。
今回の特集は、『フラワーデザインコンテスト』。フローリスト創刊40周年記念企画だそうです。コンテストの入選作品が誌上で発表されています。どんな作品なのでしょう?さっそく見ていきましょう!
特集 フローリスト創刊40周年記念企画 フラワーデザインコンテスト
創刊40周年を記念して、読者から公募した作品でフラワーデザインコンテストを開催。今回の特集では、結果発表と入選した作品が紹介されています。
コンテストのテーマは、Celebration in Bloom(花咲くお祝い)、Timeless Elegance(永遠の優雅さ)の2種類です。
審査員は、第一園芸の新井光史さんとTHE LITTLE SHOP OF FLOWERSの壱岐ゆかりさんです。
記事は次のような構成になっており、部門は4つです。
最優秀賞
コチョウランやキンギアナムといったランと、繊細で柔らかなラインのメラスフェルラやクロモジなどを合わせた花束。ぜひ、誌上でごらんください。
花束部門
部門賞とリトル壱岐ゆかり賞があります。テーマによって表現された花束も違い、それぞれの方々がご自分なりにテーマを追求しているのが分かります。
アレンジメント部門
部門賞と新井光史賞があります。こちらもテーマによって表現された作品は異なりますが、個性豊かな作品ばかりです。使用されている器も独特で、アレンジメントを生かすものとなっています。
アーティフィシャルフラワー部門
リースあり、花束あり、作品によって使われている色あいもそれぞれで、アーティフィシャルの特徴がよく表れていると思いました。
ドライフラワー部門
アーティフィシャルとはまたひと味ちがった趣き。テーマを意識した作品が並んでいます。
審査員による選評
それぞれの作品に対して審査員のお二人がコメントを寄せています。
特集 韓国、ソウルの花事情
日本で花を学び、ホテル装花などプロとして活動していた経歴をもつフローリスト、キム・ファヨンさんに案内してもらった記事。次の見出しからなります。
1 とびきり豪華に美しく!トップクラスのホテルウエディング
2 カジュアルスタイルとは一線を画すラグジュアリーさが人気のチェーン店
3 海外からも熱視線!なレッスンスタジオの魅力とは
4 センスと個性がキラリ☆ラッピングと色使い光る個人花店
5 働く女性が癒しを求めて訪れる隠れ家的レッスンスタジオ
6 一般人も自由に買えちゃう!?街中にぎわう花市場へGO!
7 付加価値とオリジナリティUPに欠かせないソウル的すてきラッピングワールド
8 プロから注目の装花レッスン ソウル花視察のコーディネートも手がける!
それぞれ、ちがった角度から花への取り組み方が紹介されており、興味深い記事でした。他の職種から転職したお店のオーナーが多いのも印象的でした。
特集 フランスの地産地消の取り組み
ヨーロッパでは近年、「エコフレンドリー」「地産地消」が話題になっています。アメリカのスローフラワームーブメント(花の地産地消を推奨する運動)に影響を受けて、地産地消の流れが起きているそうです。
現在、市場で売られている花の80%を輸入に依存しているというフランスの花き業界。生産者とフローリストのつながりに焦点を当て、3軒の生産農家と3人のフローリスト、フランス産の花を推奨する組合が1件紹介されています。
フランスでは、どのように自国産の花が広がっていっているのか、よく分かる記事です。日本はだいぶ遅れているなあ、という印象。必見です。
連載記事
新連載 技法別に学ぶ花束の作り方
「ハシグチアレンジメンツ」の橋口学さんに、技法別花束作りの基本をレクチャーしてもらった記事。
今回は、「コンパクトな輪郭を持つスパイラルの花束」。花束作りの技法が順を追って写真入りで解説されています。下準備から始まり、中心の作り方、展開部分の作り方、結束まで、丁寧な解説が載っています。
季節の枝物
6月の枝物:ムシカリ
白・ブルーの花を基調に、ムシカリの爽やかな葉が映えます。
7月の枝物:ドラゴンヤナギ
自由に形作れるドラゴンヤナギの特性を活かしたアレンジの紹介。
ボタニカル・メタモルフォーシス
今回は、「デルフィニウムの美しさを見せる造形」。マスにした花と茎のライン、両方の美しさを同時に表現できる花材として使われています。
出来上がった作品は、スプレー咲きのデルフィニウムとは全くちがった印象になっています。面白いですね。
バラの解体図譜
世田谷花き、バラ担当による連載。今回は「スイートジゼル!」
インタープランツ(オランダ)の作出で、生産地は栃木県の山口バラ園。
中輪、丸弁咲きの花弁で、フチがギザギザしています。淡いピンクのバラですが、咲いてくると中心にピンクがしっかりと乗ってくるそうです。
まとめ。
『フローリスト』が創刊40周年を迎えたということは、日本の花業界もそれなりの歴史を歩んできたということですね。お隣韓国やフランスの花業界のことも紹介されていて、花の世界がグローバルになってきているのを感じます。
今号、気になった記事で「well-blooming project」というものがありました。「日本の花業界が垣根を越えてついに始動!環境問題と向き合い、人々の幸福に花や植物が貢献することを伝える取り組み」とあります。
環境問題に花業界も取り組もう、という意図です。花業界でゴミになるプラスチック製品などが取り上げられており、「お花屋さんができることから始めよう!」ということで、実際にできそうなことが提案されています。ぜひ、参考にしたいですね。
次号の特集は「ウエディングの装花&ブーケ」「夏こそ!アーティフィシャルフラワー」です。ウエディングの特集はうれしいですね。楽しみにしましょう。