いまやすっかり主役の花になった『トルコキキョウ』。
バラやカーネーションにも引けを取らない、使いやすい花材として、お花屋さんにはなくてはならない花材のひとつです。
でも、「リシアンサス」って呼ばれたり、「ユーストマ」って呼ばれたり、なんだかちょっとわかりにくい?
今回はそんな『トルコキキョウ』についてまとめてみました。
トルコキキョウってこんなお花!
トルコキキョウの基本情報です。
トルコキキョウの基本情報
学名:Eustoma
分類:リンドウ科 / トルコギキョウ属(ユーストマ属)
和名:トルコ桔梗
英名:Lisianthus, Eustoma, Texas Bluebell, Tulip Gentianなど
原産地:北アメリカ南西部~メキシコ~南アメリカ北部
本来の旬は夏ですが、お花屋さんには1年中出回ります。値段も1本400円~1000円くらいと幅広く、いろんな品種が出回っています。
色は、白、クリーム色、濃淡ピンク、濃淡ムラサキ、グリーンなど。微妙な色合いの品種もどんどん生まれています。
咲き方も、一重咲き、八重咲き、大輪、小輪、フリル咲きなどなど、本当に同じ花??と思うくらい様々です。
トルコキキョウの切花の飾り方・日保ちについて。
トルコキキョウの切花、日持ちはする?
トルコキキョウの切花は、比較的もちのよい花です。
一重より八重の方が、一つの花のもちは良いかも。また、茎が腐りにくいので、夏の暑い時にも(それほど)ドロドロにならずに飾れるありがたい花です。
水あげは「ハサミで切る」?「手で折る」?
トルコキキョウの水あげ、多くの花屋さんでは「手折り」と習うのではないでしょうか。
手で折って水につける。水の中で手折りする…など。
ハサミの金属を嫌うからとか、茎の繊維が多いので折った方が水が上がりやすいとか、説はいろいろあります。(そんなに違うかな?という気もしますが)
どちらにせよ、お店で水揚げはされていますので、買ってきたときは普通にハサミで切って水に活けるので問題ないと思います。
細めの茎だったら手で折るのも簡単。気持ちよくポキッと折れますよ。
トルコキキョウの花言葉は?
花言葉は、『希望』『優美』『清々しい美しさ』 など。
お花屋さんではメジャーな花ですが、花言葉本には取り上げられていないこともしばしば。
アメリカ原産の比較的新しい花なので、ヨーロッパ起源の神話や伝承に出てこないためと思われます。
品種・合わせたいお花・おすすめの使い方。
品種はとにかくたくさん!
大輪のフリル咲きはまるでバラのよう。
八重咲きでもいろんな表情があります。小輪の一重咲きは、可憐な花姿。
特別なギフトにも、日常使いにも。
トルコキキョウほど、使われるシーンが幅広い花も珍しいと思います。
昔ながらの一重咲きは仏花やお供え花に使われることも多いし、豪華なフリル咲きは結婚式や大型のスタンド花にも重宝されます。
色によっても、まったく雰囲気が変わります。
豪華なトルコキキョウだけで花束をつくると上品で高級感あって素敵なのですが、品種名があまり定着していないので、オーダーするのも難しいのではないかと思われます。
まだまだポテンシャルを秘めているトルコキキョウ。花屋側としては、提案の仕方にも工夫が必要だなあと思います。
トルコキキョウの豆知識いろいろ。
「トルコキキョウ」?「リシアンサス」?「ユーストマ」?ややこしい名前問題。
トルコキキョウがいまいち一般に定着しない問題のひとつに、「呼び名問題」があります。
お店によって、市場によって、「トルコキキョウ」と言ったり「リシアンサス」と言ったり「ユーストマ」と言ったりするのでが、全部同じ花のこと。
お花屋さんの店頭でも、「リシアンサス」と表記している店もあれば、「トルコキキョウ」と表記している店もあります。ややこしい。
もともと日本に入ってきたのは昭和10年代。そこから主に日本で品種改良がすすみました。
そのとき、桔梗に似ているから「トルコ桔梗」と呼ばれるようになったのですが、トルコは関係ないし、キキョウ科の花でもない!という矛盾を抱えてしまったわけです。
その後、学名である「ユーストマ」と呼ぶ方がいいんじゃないか?とか、英語圏でよく使われている「リシアンサス」の方がいいんじゃないか?と呼び名を変える動きがあるものの、「トルコキキョウ」の呼び名の浸透が根強く、なんとなく平行して使われている、というのが現状。
大田花きの品目名では「リシアンサス」になってますね。
統一した方がいいと思うけど、今更どうにもならないんでしょうかね…。トルコキキョウの名前問題はなかなか根深いのです。
品種改良では、日本がトップランナー
北米原産のトルコキキョウは、日本で育種改良が進んだ「日本育ち」の花。第二次世界大戦の間も一部の農家が種を保存し、戦後の育種への道をつくったのです。
現在も品種改良の中心は日本。世界中で生産されるトルコキキョウの種のシェアは大部分が日本の種苗会社のものです。
原産地での原種は、楚々とした一重咲きの野草なのだとか。
現在お花屋さんで見る「トルコキキョウ」は、まさに日本が作った花なんですね。
切花のトルコキキョウ、まとめ。
トルコキキョウ、まとめです。
・いまや、主役級の花のひとつ!
・色や咲き方でいろんな品種があり、印象も使い方もさまざま!
・品種を選べばどんな使い道にもオールマイティ。
・「トルコキキョウ」「リシアンサス」「ユーストマ」表記は違っても同じ花のこと。
たくさんの品種を見ている花屋の立場から、トルコキキョウは本当に魅力的な花だと思います。
が、まだ一般の方に伝わりきれているかな…と思う面も大きい。いまは本当にいろんな品種があるので、イメージにとらわれず、ぜひ飾ってみてほしいと思います。
参考サイト
●サカタのタネ 100年を彩った品種たち「トルコギキョウ」
http://www.sakata100th.jp/episode/01/
●サカタのタネ トルコギキョウコレクション
https://www.sakataseed.co.jp/special/toruko/history.html
●日本の育種 トルコギキョウ(MPSジャパン松島社長のブログ)
http://mpsjapan-blog.jugem.jp/?eid=3474