母の日ギフトでよく見かける『寄せかご』『寄せ鉢』。
ボリュームがあってきれいだし、つくるのも手軽だし、単価も単品より高く取れるし(花屋目線)ということで、母の日シーズンには大活躍な商品です。
ただし…
鉢植えだから長くもつし、そのまま育つと思ってませんか?
実はこれ、もらってそのままにしておくとすぐ傷んでダメになってしまうんです。
あんまりよく理解されてない商品なんじゃないかな?と思うので、解説しましょう。
『寄せ植え』と『寄せかご』の違い
『寄せかご』に似た言葉で、『寄せ植え』というのがあります。寄せ植えと寄せかごは似て非なるものなのです。
『寄せ植え』とは。
大きな鉢に、いろんなお花を植えこんだ『寄せ植え』。
お花屋さんではあんまり売っていないかもしれません。
ホームセンターや園芸店では、どういうものを組み合わせていいかわからないという方のために見本として作り、実際に販売もしているところもありますね。
鉢植えは切り花のアレンジメントと違って、色やかたちだけで組み合わせるわけにはいかない。
何カ月も楽しむためには、植物の性質(日当たり好きか、乾燥は得意かなど)や、成長のスピードなどを把握していないといけないので、プロのつくった寄せ植えは需要があるんですね。
ただし、作ってしまうと簡単にバラせないので、商品にはしづらい。どちらかというと、オーダーを受けて作りたいものです。
『寄せかご(寄せ鉢)』とは。
たとえば、こんなものたち。
「母の日 寄せ鉢」で検索してみるとたくさん出てきますね。こういうのはみんな『寄せかご(寄せ鉢)』です。
『寄せかご(寄せ鉢)』を分解してみよう。
寄せかごを分解してみると、
↓
花鉢やビニールポット苗が、そのまま入っているだけ。花鉢や苗ものの『詰め合わせ』です。
可愛いカゴもリボンも包装紙も、ラッピングなんですね。
『寄せかご(寄せ鉢)』はそのまま育てられない。
『寄せかご(寄せ鉢)』は単なる詰め合わせなので、そのまま育てることはできません。
しかも、単品である『花鉢』や『苗』の状態より傷みやすいのもポイントです。
そのまま水やりをしたら、かごの中に敷いてあるセロファンに水がたまる。鉢ものにとっては最悪の環境に。
鉢植えとして育てるつもりなら、寄せかごのまま眺めるのはせいぜい1週間程度にして、カゴから出してあげましょう。
単品の『花鉢』として、『苗もの』として、それぞれ管理してあげればきちんと育ちます。
特に母の日でよく使われるカーネーションの鉢・ラベンダーの鉢などは蒸れに弱いので、なるべく早くカゴから出して、風通しのよい場所に置いてあげたいところです。
花鉢はかごから出して管理を。苗ものは植え替えを。
『寄せかご(寄せ鉢)』の正しい知識を。
鉢ものにとって良くない環境とわかっていながら、なぜそういう商品をつくるのか。
それはやっぱり、ギフトですから。
店頭からお母さまの手に届くまで綺麗に包んで贈りたいというのは人情。かごにいれたり、きれいな和紙でつつんだり。
でもそれは一時のもの、ってお花屋さんはわかってます。
大事なのは、それがお客さんに伝わっているのかな?ということ。
「もらったけど、すぐ枯らしちゃってねえ・・」という話を聞くたびに、それは育て方が悪いんじゃなくて、そのままで育つものじゃないですから!と思うのです。
鉢植えだからずっと育つと思ってたのに1ヶ月で枯れちゃった、私は植物育てるの苦手なんだ・・・って苦手意識を持つ人を毎年毎年つくってしまっていたら本末転倒ですよね。
だからこそ、販売した花屋は、その後の管理の仕方などをきちんと付けるべき。
母の日の『寄せかご』は主力商品。いまやコンビニの母の日カタログにも載っています。
売る人も、贈る人も、贈られる人も、正しく理解して鉢植えを楽しんでほしいなあと思います。
補足:
枯らすのが悪いとは思っているのではなくて、育つと思っていることが問題だということ。切花のアレンジ感覚で、1ヵ月観賞できればいいや、と考えるのもアリだと思います。
まとめ。
というわけで、まとめです。
・『寄せかご』は、鉢物の詰め合わせギフト。
・長く育てたいなら、カゴから出してそれぞれ楽しもう。
母の日ギフトのご参考に、ぜひ。