お正月に欠かせない、縁起物の花材のひとつ『千両(センリョウ)』。
買ってみたけど、実が落ちてしまう…葉がしおれてしまった…など、やや扱いにコツがいる場面も多いです。
今回は『千両(センリョウ)』についてまとめてみました。
千両(センリョウ)ってこんなお花!
千両(センリョウ)の基本情報

学名:Sarcandra glabra(Chloranthus glaber)
分類:センリョウ科 / センリョウ属
和名:千両
原産地:日本・中国・台湾・朝鮮半島南部など
1年のうち出回るのは年末~お正月のみ。
花市場では、12月なかばになると通常のセリとは別に「千両市」がひらかれる、特別な花材です。
等級(ランクのようなもの。後で解説します)によって値段も様々。小さいものでは1本400円ほど、特級品では1本1500円以上することも。
お花屋さんには12月26日頃から並びます。葉がみずみずしく、実がつやつやとしているものを選びましょう。
千両(センリョウ)の切花の飾り方・日保ちについて。
千両(センリョウ)の切花、日持ちはする?

良い品であれば、千両は意外と長持ちします。1月半ばまで飾れることもあるので、半月ほど持つ場合もあります。

長いものは切り分けたり、枝分かれしている部分をカットして短く活けることもできます。
また、葉が多すぎると水落ちして萎れやすくなるので、飾る際に多すぎる葉は取り除くようにしましょう。
千両(センリョウ)の水あげ方法

千両は水あげが大切。
生花店では千両が入荷すると茎を叩いたり割ったりして深水につけ、しっかりと水あげをします。叩くときも、振動で実が落ちてしまわないように慎重に。
きちんとしたお花屋さんで購入すれば水あげはしっかりされていると思いますので、売り場では葉が生き生きとしているか、実にツヤがあるか、よく見て選びましょう。

ご自宅で切り分けて飾る場合も、そのつど茎を軽くたたいて潰すか、割りを入れた方が長持ちすると思います。
千両の実が落ちるのはどうしたらいい?
せっかく買ってきた千両、包みを開いたらバラバラっと実が落ちてしまった…ということがあります。これから飾ろうと思ったのに、残念ですよね。
これはある程度は仕方なく、輸送中の振動などで実が落ちてしまうものです。
花屋の経験から言えることは、等級の高いものほど実つきがよく、落ちる実も少ないこと。ある程度丈が長くて値段の高いものを買ったほうが間違いない、とは言えると思います。
千両(センリョウ)の花言葉は?

花言葉は、『富貴』『富』『恵まれた才能』 など。
赤い色の輝きが「百両にも勝る」ことから「千両」の名前がついたと言われ、富や富貴といった花言葉があります。実りは富の象徴でもありますね。
品種・合わせたいお花・おすすめの使い方。
色バリエーションは、赤と黄色

千両の実色は、赤のほかに黄色もあります。
黄色の方が流通量は少ないですが、やっぱり2色活けたい!というお客様もいらっしゃいますので、大きいお花屋さんなら揃えているのではないでしょうか。
定番は赤ですが、黄色も華やかで縁起がよさそうですね。
お正月らしい組み合わせ
合わせる花材の定番は、松・葉牡丹・菊・ランなど。
ですが、どんな花にでも千両を1本加えれば「ザ・お正月感」が出てしまうのがスゴイところ。バラやトルコキキョウなどの洋花に千両を合わせてお正月に飾るのも素敵です。
また、松と千両だけをシンプルに活けるのも潔く、お正月らしいのでおすすめです。
千両(センリョウ)の豆知識いろいろ。
千両の「等級」について。
千両は古典的な花材なので、市場でも独特のしきたり(?)に基づいた等級というランク分けがされています。
お花屋さんでも「1等」「2等」「カマ」などの呼び名で区分けされている場合もあり、お客さんとしてはちょっとわかりにくいですよね。
簡単に言えば、「数字が少ないほど良いもの」で、一番いいのが「特級」です。(4等<3等<2等<1等<特級、みたいな感じ)
こちらは近所の花屋さんで「特級」と「2等」を買ってきて比べたもの。違いがわかりますね。

茎の長さで決まるわけではなく、実の付き方や実の量など総合的に判断して等級が決められているのだそうです。
私も花屋としてたくさんの千両をさわってきましたが、たしかに等級が高いものの方が品質がよく、実も落ちにくくて長持ちするのは確かです。
お財布に余裕があるならば、上の等級品を買ってみることをおすすめします。
等級については別記事でも解説していますので、ご興味のある方はこちらもどうぞ。

切花の千両(センリョウ)、まとめ。

千両(センリョウ)、まとめです。
・お正月に欠かせない縁起物の花材
・年末にのみ出回る(千両市という特別なセリがある)
・水あげがやや悪いので、茎を割るか叩いてから活ける
・品質は等級で判断する
千両はお正月にしか出回らない、特別な花材。
生産者も市場の人も花屋さんも、1年に一度のこの花材に特別な思いを持っています。
最近は千両を飾る人が減って生産者も減っているのですが、品質のよい千両の実はつやつやと美しく、まさに縁起物なのだなと感じることができます。
次のお正月にはぜひ、一度手に取ってみてくださいね。
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