その名もかわいらしいヒメミズキ(ヒュウガミズキ)は、早春と初夏でまったく違う姿で出回る枝ものです。
お正月~早春には、淡い黄色の花が枝につく花つきの枝ものとして。初夏には爽やかな緑色の葉を楽しむ枝ものとして活躍。使いやすい枝もの、ヒメミズキをご紹介します。
ヒメミズキってこんな枝もの
分類:マンサク科トサミズキ属
原産地:日本
別名:ヒュウガミズキ(日向水木)
ヒメミズキはヒュウガミズキとも呼ばれ、近畿地方の日本海側など、ごく限られた地域の岩場に自生する落葉低木です。現在では、各地の公園や庭木としても利用されるようになりました。生垣にも使われます。
早春に淡い黄色い花がぶら下がって咲く落葉低木で、花が終わると葉が出てきます。
「ヒメミズキ」という名前は、トサミズキより花、葉、実が小さいことからついたという説があります。小さなトサミズキという意味ですね。
また、別名の「ヒュウガミズキ」は、ヒメミズキから転訛して「ヒュウガミズキ」になったと言われます。ほかに、京都府の丹波地方に多いことから、戦国時代に所領していた「明智日向守光秀」からきたという説もあります。日向(宮崎県)との関係はないようです。
ヒメミズキの出回り時期、選び方
ヒメミズキの出回り時期
ヒメミズキは、お花屋さんでは年末から2月にかけて出回ります。年末年始には、裸の木につぼみがついた枝が出回り、お正月の花材としても使われます。
2月の立春ころになると、淡い黄色の花が咲き始めた花つきの枝が出回ります。
また、5月になると、ハートに似たかわいらしい形の葉がついた新緑の枝が出回ります。
80センチ~1mくらいの枝が300円前後でしょうか。
選び方
枝ぶりをよく見て、使い道に合ったものを選びましょう。また、花つきのよいものを。
ヒメミズキの飾り方、日もち
生け花やアレンジメントに
ヒメミズキは、枝ものとしてそのまま花びんに挿してもよいし、他のお花と合わせてアレンジメントに使うこともできます。ラナンキュラスなど春のお花や枝ものと合わせると、季節感豊かなアレンジになります。曲線がきれいで枝が柔らかいので、使いやすい枝ものです。
生け花にもよく使われますし、盆栽にすることもあります。
日もち
ヒメミズキは結構日もちします。管理がよければ1か月くらいもつことも。飾っているうちにつぼみがふくらんで咲く場合もあります。
水揚げは、枝に切り込みを入れましょう。細い枝は一文字に、太い枝は十文字に入れるとよいでしょう。また、木肌を少しそぐと水上りがいっそうよくなります。水の量は多めにして生けましょう。
置き場所は暖房が直接当たらない場所を選びましょう。
ヒメミズキの花言葉
ヒメミズキの花言葉は「思いやり」です。ほかに「信頼」「神秘」という花言葉も見かけます。小さく可憐な花を見ているとうなずけますね。
ヒメミズキとトサミズキの違い
どちらも早春に黄色い花を咲かせますが、ヒメミズキのほうがトサミズキより花も葉も小さめです。花の数で見分けることもできます。小さな花がいくつか集まってぶら下がるように咲きますが、ヒメミズキは1~3個、トサミズキは5~8個です。
花穂が長いのがトサミズキで短いのがヒメミズキとも言われます。枝ものとしては、ヒメミズキのほうが細い枝になります。
トサミズキの名前は、自生地が「土佐」、高知県であることに由来するそうです。トサミズキも栽培しやすいので、現在は庭木としても植えられています。
ヒメミズキのまとめ
ヒメミズキのまとめです。
・ヒメミズキは早春に黄色い花を房状につける落葉低木
・枝ものとしては、お正月や早春、新緑の頃に出回る
・生け花やアレンジメント、盆栽に使われる
ヒメミズキは使いやすい枝ものなので、お花屋さんで見かけたら、ぜひ手に入れて飾ってみてください。季節が限られますが、お部屋の中に春を取りこむことができますよ。