2021年、あけましておめでとうございます。
ハナラボノートの新年人気企画、『都内高級ホテルのお正月装飾巡り』。
ですが。
2020年は新型コロナ感染症が世界中を襲い、ホテル業界にとっては厳しい一年だったと思います。
しかも、都内では12月下旬から感染者の増加が止まらない状況。外出自粛が求められ、あわや緊急事態宣言が出るのでは…?という中でのお正月となってしまいました。
この企画5年目にして、こんな試練が待ち受けていようとは。どのホテルも、昨年までと同じようにとはいかないでしょう。
そんな2020年末に、老舗ホテル3軒+毎年素敵な外資系ホテルなど5軒、計8軒のホテルを巡ってきました。
2021年のお正月、都内一流ホテルのお正月花はどんな感じだったのか。じっくり見ていきましょう!
御三家!三大老舗ホテル
帝国ホテル
帝国ホテルの正面ロビーは、いつも通りの大型園芸装飾。お客さんは少なめでしたが、ここをバックに記念撮影をされている方々もいました。
中央の松、竹、紅白の梅、ハボタン、万両など縁起の良い植物がもりもり。
今年はアイリスの青がとても効いていました。これは切花かな。
ロビーや受付にもお正月らしい花がいくつか。
一番変わっていたのは、宴会場側の入り口。どーんと樽酒と鏡餅があるのは例年通りなのですが、まわりの園芸装飾はなし。
いつもは宴会場側の入り口にも道なりに園芸装飾があるのですが、今年は消毒や検温のためのテーブルが置かれ、スタッフの方が待機していました。確かに、宴会もいつもどおりにあるとは思えませんしね。
全体にお客さん少なめ。各出入り口には検温と消毒のスタッフがいて、しっかりと対策がされているようでした。
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お隣の、帝国ホテルプラザの入り口はこちら。
今年は、大型のアレンジがふたつ!
胡蝶蘭、シンビジウム、バンダ、オンシジウム、モカラなどなど、カラフルな蘭がぎゅっとつまっています。濃い緑色のアジサイも効いていますね!
足元には苔と南天の実。鮮やかで目を惹きますね。豪華さは例年通りでちょっとホッとしました。
The Okura Tokyo(ホテルオークラ)
オークラのメインロビーはいつも通り、石草流・奥平清鳳氏の大型いけこみ。六角形の池に、苔松・苔梅・椿が活けられています。
梅はピンクと白。この淡いピンクの梅がなんとも優しげな色合いでうっとり。咲き具合もどんぴしゃです。紅白の梅は定番ですが、淡いピンクを使うのはけっこう珍しいのでは?新鮮に感じました。
ラウンジの方へ進むと、金屏風の前に立派な鏡餅。伊勢海老もホンモノ!干し柿が並んでいるのも特徴的。
美しいラウンジ。人はやはり少なめです。壁側に大きな壷活け。
どどん。五葉松の一種活けです。すごい迫力。
枝ぶりがかっこいい。周りの意匠とあいまって、まるで一枚の絵のようですね。
もはやどうやって活けているのかわからない…(毎年)
オークラは昨年からリニューアルした本館タワーですが、ロビー階には細かな花を飾る場所はなく、昨年と同じメインの大型活けとラウンジの壺活けのみ。シンプルで潔いですね。
ホテルニューオータニ
御三家の中では例年一番お花が多く、お祭り感のあるニューオータニ。今年はどうかなあ…と思っていましたが、入り口入ってすぐの場所には、どーんと鏡餅がのった樽酒&両脇に巨大活けこみ。
白とピンクの胡蝶蘭・白梅・紅いボケ・椿がふんだんに使われた豪華な活けこみ。草月の作品です。
館内はお祭りムードもあって、ちょっとホッとします。
ラウンジやフロントなど、各所にお正月らしいアレンジが飾られています。
それでも、ラウンジの一部席が減らされていたり、通路を通行止めにして減らしていたり、感染症対策の苦労は端々に。
1階降りて、催し物会場の入り口にも巨大な花車の活けこみ。華やか!
セイヨウウメモドキの赤い実と、黄色いオンシジウムが鮮やか。
元旦からの催し物の準備中でした。
ここにも松がびっしり!
館内の柱や壁にはこんなお正月飾りが取り付けられていて、こちらも例年どおり。松も南天も本物です。
ホテル入口の門松も、たくさんの飾りで彩られていました。
例年よりはお客さんも少なめなのかもしれないけれど、それなりに賑わいがあり、お花も例年通りで、ザ・お正月感を感じました。
今年「例年と同じようにやる」のは、見えない苦労もたくさんあるだろうな…と思うし、関係者の方々は本当にお疲れ様です。
ラグジュアリー!外資系ホテルなど
シャングリ・ラ・ホテル東京
東京駅から徒歩1分。ラグジュアリーな外資系ホテルの筆頭・シャングリラホテルです。入り口を入っていくと…
エレベーター前のスペースは、あれ…例年よりだいぶお花が減っていますね。シンプルにロウバイがふたつの花瓶に活けられているのみ。ここは毎年趣向が変わって楽しみなスペースだったんだけどなあ。
シンプルな鏡餅。稲穂がたわわ。
エレベーターで上層階のメインロビーへあがると、エレベーター降りてすぐ目に入る大きな壺活け!
ここは昨年より大きくなっていますね!ソファの間隔をあけたことで、大きなアレンジが置けるようになったのかも(1階の予算をこっちに持ってきたのかも…などと想像)。
松・白梅・柳・そして八重咲きのオリエンタルユリ。八重咲きのユリはさすがにたっぷりした存在感。花粉も出ないので、お手入れも楽ですね。
フロントの両脇には縦長のアレンジが対になって置かれています。ボケの枝とアンスリウム、手前にはパロット咲きの赤いチューリップ。
チューリップもこのくらいの量どさっと飾ると素敵だなあ。アンスリウムは暗い赤色を使っているので、チューリップの赤が映えますね。
ボケ・アンスリウム・チューリップ、それぞれの「赤」を楽しめる組み合わせ。
待合いのサイドテーブルは、鉢物のコチョウラン。ガラス花器にうつし替え、枝物をあしらうひと手間がさすがです。こちらは白い実が特徴的なナンキンハゼの枝。
通路の鏡前にもアレンジが。苔梅の枝とコチョウラン、ヤブコウジの鉢、ヒカゲカズラが足元にあしらわれています。
円筒のガラス花器に白砂をつめて、コチョウランの鉢を嵩上げしているのですね。ふむふむ。
1階降りたエレベーターホール。ここも例年たっぷり切花が使われているのですが、今年はコチョウランの鉢のみ。こちらも枝物があしらわれています。
全体に予算が変わったのかはわかりませんが、メリハリをつけて「減らすところは減らす。魅せるところは魅せる」という意識を感じました。
また、植物の選び方や飾り方から「メンテナンスに手がかからない」ことも重視されているような気がします。シフトや仕事の仕方も例年どおりとはいかないですもんね。限られたなかで最大限工夫をしているのだろうな~と思いました。
マンダリンオリエンタル東京
日本橋のラグジュアリーホテル、マンダリンオリエンタル。
例年、1階受付の両脇に背の高いアレンジが1対あるのですが(→昨年のマンダリンオリエンタル)今年はなし。
フロント脇のスポットライトが当たる場所に中くらいのアレンジ。金竹を組んだ中に、紅白のアンスリウム、オンシジウム、茶色のシンビジウム、ハボタンが入ったアレンジです。
ハボタンもウエーブがかって素敵な品種。アンスリウムを紅白で使うって発想は意外になかった。モダンだし、日持ちもしそうで良いですね。
高層階のメインロビー、待合はどどんと松。ここは生花ではなく、アートフラワーを使っています。いつも大胆で斬新な装飾ですね。
階段でレストランがあるフロアに降りてみましたが、ここにはお花なし。例年はお正月らしいアレンジがいくつか置かれているのですが…お客さんの姿もほとんどありませんでした。
ペニンシュラ東京
日比谷公園を望む、ラグジュアリーホテル・ペニンシュラ。毎年お花もりもりのアレンジを楽しみにしているホテルですが、今年はどうでしょうか。
メイン入口から入ってラウンジ。もりもりの巨大アレンジ健在!
菊・グロリオサ・オンシジウム・アランダなどで、赤×黄色の華やかなアレンジです。
1階を進み、階段横にも背の高いアレンジ。こちらは赤のアランダのみでシンプルに。
これはこれで素敵だけど、例年の花もりもり具合を知っているだけに、ちょっと寂しい感じもします。
そして反対側の入り口は…
ああ!いつもどーんとアレンジが置かれている場所が、検温と消毒のためにつぶされてしまっている~~(毎年ここのアレンジをブログのサムネイルに使わせてもらっているのです)
デスクがあっても見えるように、背の高い器を両脇に。黄色の千両と、繋ぐように活けられたロウバイが素敵。
どこのホテルもそうなのですが、とにかく各入口での検温と消毒を徹底しているため、いつもと同じように花が飾れない…という例ですね。それでもなんとか見えるように、デザインを工夫している様子が見て取れました。
ザ・リッツカールトン東京
六本木・東京ミッドタウン直結のラグジュアリーホテル・リッツカールトン東京。高層階ロビーへ向かうエレベーターもソーシャルディスタンスを保ちつつ。
ロビー階のフロントスペース。いつもはここに丸テーブルがふたつあって切花がアレンジされていましたが、今年はバッサリ、なし!!(→昨年のリッツカールトン)
そのかわりに、ラウンジの入口と中央に切花のアレンジがありました。大きなディスバッドマムとサンゴミズキ、足元にはモカラ。
入口は左右に。
思い切って減らしたなあ…と驚きましたが、フロント前スペースを広く(人が距離を取りやすいように)するためかもしれません。
待合のソファサイドテーブルには、緑のディスバッドマムが1輪ずつ。
いつも楽しみにしていたテーブルアレンジが見られないのは残念でしたが、お客さんはけっこう賑わっていて、確かにスペースを広く取る必要はあるかもね、と思いました。
キャピトルホテル東急
最後は、溜池山王駅直結のキャピトルホテル東急。草月の大型作品が見られるホテルです。
今年もどーーん!塗りの竹の迫力がすごいですね。
反対側から。
赤い実はイイギリでしょうか。たわわ。
レストラン入口の活けこみ。ランがもりもり!
通路にもコチョウランのアレンジ。受付などにも随所、お正月らしいアレンジメントが置いてありました。
ホテルから駅までの連絡通路にも、大型作品が配置してあります。
この先端をカットした柳を金色に塗ったやつ、なかなか良いですね。
キャピトルホテル東急は例年通り、草月の大型作品をたくさん楽しめました。
まとめ:ホテルのお正月花もコロナの影響大。
8軒のホテルのお正月花、いかがだったでしょうか。
「色とりどりの華やかさ」は少なく、紅白や、色を絞ったアレンジが多かったような気がします。
4年見続けてきたからこそ、今年の変化はどのホテルも苦心して工夫を凝らしたな…という印象を受けました。
ニューオータニやオークラ、キャピトルホテル東急のように「例年どおり」を貫いたところもあるし、花を減らしたり場所を変えたり、変化したところもありました。
予算が減った…というよりは、
・検温や消毒のために入口の数を減らす
・人と人の距離を保てるよう、スペースを広くとる
など、感染症対策のオペレーションのために変更を余儀なくされたのかなあ、と。(予算が減ったところもあるかもしれませんが)
また、外部から訪れるお客さんが減った分、宿泊滞在しているお客さんが見られる場所に力を入れたのかな、と思う部分もありました。
いずれにせよ、「いつもどおり」とはいかなかった2021年のお正月花。
まだまだ厳しい時期が続きますが、はやくコロナウィルスが収まり、来年のお正月花はいつものように華やかになることを(そして、お花の予算が減らされませんように…!)願ってやみません。
関連記事:2017~2020年の一流ホテルのお正月花はこちら
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おまけ:年末の都内おさんぽスナップ