日本人には昔からなじみのある『ホオズキ』。
初夏には各地の神社でほおずき市が開かれたり、お盆の飾りものとしても欠かせないアイテムです。
切花で出回るホオズキにはいくつかの種類があり、意外と知られていない品種もあるのです。今回は、切花の『ホオズキ』について解説します。
ホオズキってこんなお花!
ホオズキの基本情報です。
ホオズキの基本情報
学名:Physalis alkekengi var. franchetii
分類:ナス科 / ホオズキ属
和名:鬼灯・酸漿 英名:Chinese lantern
原産地:東アジア
切花として最も多く出回るのは夏のお盆用で、7~8月がピークです。有名な産地は大分県。
上記写真のような、実の大きな「大実ホオズキ」が主となります。価格は1本500~800円ほど。お供え用には、実だけバラされたものも販売されます。
お盆に使う花についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
この「大実ホオズキ」以外に、実の小さいタイプのホオズキが夏~秋に出回っています。が、量は非常に少ないので、お花屋さんで見ることは少ないかもしれません。
大実ホオズキ以外の種類については、後ほど解説します。
ホオズキの切花の飾り方・日保ちについて。
ホオズキの実、日持ちはする?
ホオズキの実は、そのまま乾燥させればドライになります。ドライにしてしまえばずっと長く飾ることができるので、秋のアレンジやハロウィンの飾りに使うこともあります。
さわってもやわらかい、生の状態が続くのは2週間ほどでしょうか。
ホオズキの飾り方・飾るときの注意など。
切花で出回っている大実ホオズキを1本で買ってくるとこんな感じ。
このまま活けるというよりは、茎ごとドライにしてお盆飾りに使ったり、切り分けて使うことの方が多いのではないでしょうか。
茎はこんな感じ。生花のまま飾る場合は、ななめにカットして活けます。
上についている葉は萎れやすいので、葉を生かして飾るつもりでなければ、先にカットしてしまうことも多いです。
ホオズキの花言葉は?
花言葉は、『偽り』『ごまかし』『欺瞞』『心の平安』『不思議』 など。
偽りやごまかしなどの花言葉は、中身が空洞である実から連想したもののようです。
切花で出回るホオズキの種類
大実ホオズキ
お盆の頃に出回る、大きな実をつけるホオズキ。切花で出回るホオズキはこれが一番多いです。
小さい実のホオズキ
夏~秋にかけて、実の小さいタイプのホオズキが出回ります。品種名は書いていないことが多いのですが、「姫ホオズキ」と言われたりします。
こんな小さい実のホオズキもあったり。
大実ホオズキと比較するとこんなに差があります。
ほおずき市で売られている鉢物のホオズキと同じ(近い)種類なのだろうと思います。
黒ホオズキ
小さめなホオズキの中に、「黒ホオズキ」というのもあります。真っ黒な実がかっこいいホオズキですね。
緑のホオズキ
黒ホオズキと同じくらいのサイズ感で、緑のホオズキが出回ることもあります。これは品種違いなのか、単に熟す前の緑のホオズキなのか、ハナラボもまだよくわかりません…
黒ホオズキの名前で出回る「ニカンドラ」
じつは、市場やお花屋さんで「黒ホオズキ」と呼ばれて流通しているほかの植物があります。
それがコレ。
生け花などでも使われるので、上記で紹介した黒ホオズキや緑ホオズキよりも、見ることが多いかもしれません。
こちらの学名は Nicandra physalodes 。今まで紹介してきたホオズキとは別属で、同じ仲間ではありません(ややこしい)
ホオズキだけどホオズキじゃない、ニカンドラ。和名ではオオセンナリと呼ばれたりもします。
ホオズキの豆知識いろいろ。
ホオズキの歴史
ホオズキの歴史は古く、古事記にも「ヤマタノオロチの目が酸漿(ホオズキ)のよう」という描写が出てくるほどです。
古語では「赤加賀智(アカガチ)」「輝血(カガチ)」「赤輝血(アカカガチ)」とも呼ばれていた。八岐大蛇のホオズキのように赤かった目が由来とされている。(Wikipediaより)
地下茎や根は「酸漿根」として薬用に使われていました。平安時代には鎮静剤として、江戸時代には子宮収縮作用から、堕胎薬としても使われていたそう。吉原を舞台にした遊女の物語などでは、堕胎薬としてホオズキの名が登場することもあります。
「透かしホオズキ」の作り方
ドライフラワーと並んで、ホオズキの楽しみ方のひとつが「透かしホオズキ」。
ホオズキの実を水に浸けておくと、やわらかい皮の部分のみが腐って溶け、葉脈だけが残った「透かしホオズキ」を作ることができます。
溶けるまでが少し大変ですが、家庭でもできるので、作ってみるのも面白いですよ。
切花のホオズキ、まとめ。
ホオズキ、まとめです。
・お盆に欠かせない切花のひとつ
・切花で出回るのは「大実ホオズキ」
・夏~秋に実が小さいホオズキも出回る(少ないけど)
・古くから薬草として使われてきた
なんとなく懐かしく、ノスタルジーを感じる植物である「ホオズキ」。
切花で出回るものにも意外と種類が多く、ドライになるので工夫次第で楽しみ方も様々です。手に入ったときにはぜひ、いろいろ飾り方を試してみてくださいね。
参考サイト
大田花き 産地ウンチク探検隊:大分県のホオズキ
https://www2015.otakaki.co.jp/blog/place/archives/cat154/
関連記事
写真でわかる!切花図鑑のもくじはこちらのページからどうぞ↓↓