シンビジュームは、冬を代表するラン。お歳暮やお正月の花としてお花屋さんの店頭に並びます。
たくさんの花をつけるので豪華で見応えがあり、蘭の中ではとても丈夫で育てやすい種類です。
シンビジュームの花を長く楽しむための管理方法と花後の育て方について紹介します。
シンビジューム(シンビジウム)とは?
シンビジューム(シンビジウム)の基本情報です。
分類:ラン科 シンビジウム属
原産地:アジア・東南アジア・オセアニア
鉢花として流通しているシンビジュームは、主として東南アジアに自生している原種を品種改良して作られています。日本の野山に自生している春蘭(シュンラン)や寒蘭(カンラン)などもシンビジュームの仲間で、日本の環境にあっている蘭の種類なのですね。
冬に出回るラン鉢
お花屋さんの店頭に出回るのは11月~1月上旬頃。お歳暮やお年賀用の冬の贈り物として使われることが多いです。
6号~7号鉢がシンビジュームの標準サイズで、4号鉢に植えられた小型種が『テーブルシンビ』の名前で販売されています。
一般的に、小型種よりも花が大きな種類の方が花の持ちがよく、翌年花を咲かせやすいのは小型種です。
花色豊富!品種名も特徴的
花色はピンクが一番人気。ほかにも黄・緑・白などがあります。「愛子さま」「プリンセスマサコ」など皇族の名前を冠した品種も多く出回っています。
中国では黄色のシンビジュームは縁起のよい花とされ、春節(旧正月)に飾る文化があります。日本でも、中華街などチャイナタウンのある街では、黄色のシンビジュームに人気があります。
「直立タイプ」と「アーチ仕立て」
シンビジュームの鉢といいえば、すっと縦に伸びた花茎を思い浮かべる方が多いでしょう。これは、直立タイプの仕立て方。
昔からシンビといえばこの形だったのですが、2000年代はじめ頃から、コチョウランのようにアーチに仕立てた形のものが出てきました。
すべての花が表を向くので華やかに見え、直立タイプよりコンパクトに飾れるものも多いため、今でも人気の仕立て方です。
シンビジューム(シンビジウム)の花言葉
シンビジュームの花言葉は「飾らない心」「素朴」「高貴な美人」「華やかな恋」など。
名前はギリシャ語の cymbe(舟)と eidos(形)が語源。唇弁(リップ)の形が舟に似ていることに由来しています。
シンビジュームを購入するときのポイント・選び方
寒さに強いラン
寒い時期、寒冷地への贈り物にはシンビジュームがおすすめです。シンビジュームは蘭の中では寒さに強く、0℃以上あれば枯れてしまうことはありません。ギフトで人気のコチョウランは10℃以上温度が必要なのと比較すると、とても強いことがわかりますね。
つぼみ多めより、開花したものを
蕾はうまく開かないこともあるので、8割以上開花しているものを選ぶとよいでしょう。花のもちがよいので、満開になっても2カ月近く開花しています。
バルブと呼ばれる膨らんだ部分にシワがなく張りがあるものが、丈夫な株を選ぶポイントです。
買ってきたあとの楽しみ方・置き場所・管理方法
購入したシンビジュームにラッピングがされていた場合、蒸れる原因になるので外してください。また、店頭で水不足になっていることもあるので、すぐにジョウロで水を与えておきましょう。
置き場所は?
花を長く楽しむためには、暖房の入っていない寒い場所に飾るとよいです。5~15℃くらいの場所に置くのが一番長持ちします。
逆に、暖房が入っている暖かな室内に置くと、花が早く終わってしまいます。
水やりは?
水を好むので、水やりは忘れずに行います。週に一度、じょうろなどでたっぷりと。鉢底から流れ出るまで与えましょう。
肥料は必要?
ランの仲間は、バルブと呼ばれる茎に蓄えられた栄養だけで十分に花を咲かせることができるので、花が咲いているときには活力剤や肥料を与える必要はありません。
冬に濃い肥料を与えるとかえって根を傷める原因になるので注意しましょう。
シンビジュームのつぼみが咲かない・落ちてしまう原因は?
たくさんつぼみがついていたのに、咲かずに黄色くなって終わってしまった…というトラブルもあります。
シンビジュームの蕾が咲かない原因は、
・光不足
・水不足
が考えられます。
蕾が付いている株の場合、花を咲かせるのに日光が必要です。暗い玄関などでは蕾が開かずに終わってしまうことがあります。蕾が開くまでは日光の当たる明るい場所におきます。
また、水も好むため、週に一度たっぷりと吸水させる必要があります。霧吹きだけだと水不足になってしまいます。ジョウロなどで鉢底から水が出てくるまでたっぷりとかけるか、水の入ったバケツなどに浸けて水を吸わせるようにします。(少しぬるい水を与えた方が、開花が早くなります)
蕾が全て開いて満開になったあとは、花が終わるまで日光に当てる必要はありません。満開の鉢は、薄暗い玄関などにおいても問題なく楽しめます。
シンビジューム、お花が終わったらどうする?
毎年楽しめる、ランの中では丈夫で育てやすい種類
シンビジュームは蘭の中では丈夫で育てやすい種類です。いくつかのポイントを押さえれば簡単に花を咲かせることができます。
花が咲き終わったら花茎を切る
まず、花が終わった茎は下の方で切り落とします。花茎を支えていた支柱は抜き取っておきます。
暗い場所に飾っていた場合は、日光の当たる明るい場所に移動しましょう。朝日が当たるような窓際がベストです。
春になったら屋外へ
春、桜が咲く頃になったら屋外に出します。朝日のみ当たる場所か、明るめの日陰が最適。
日中の直射日光が当たると葉が黄色く焼けて、汚くなってしまいます。真夏の直射日光には当てないようにしましょう。
秋になり、外気温が10℃以下になったら、室内に取り込みます。東京など温暖な地域であれば、一年中屋外で育てることも可能です。(東京では、外でたくましく育っているシンビジュームをたくさん見かけますね)
肥料は?
春、屋外に出すときに肥料を与えます。液体肥料では不足してしまうので、蘭用の置き肥をのせておくようにします。
水やりは?
シンビジュームは水が大好き。冬・週に1回、春秋・週に2回、夏・毎日のペースで与えます。蘭の中では特に水が好きな種類なのでたっぷりかけてあげるようにしましょう。
水が多くて根腐れしてしまうことはほとんどありません。特に真夏は夕方の時間帯に、葉っぱにもかかるようにたっぷり水をかけてあげると、株全体が冷やされて夏バテせず元気に育ってくれます。
ポイント:来年咲かせるためには植替えしない!
シンビジュームは根が窮屈な状態で販売されていると思います。つい大きな鉢に植え替えしたくなってしまいますが、シンビジウムは根詰まりすると花をたくさんつける性質があるため、大きな鉢に植え替えると花をつけにくくなってしまいます。
何年も育てていきたいという長期計画であれば、一回り大きな鉢に植え替えするのがよいですが、とにかく来年もう一度咲かせたいという場合には、植え替えせずにそのまま育てることをおすすめします。
また、植え替える場合にも大きすぎる鉢に移すと根が張るのに時間がかかってしまうため、一回り大きい程度、新しい土を入れる隙間が3cmくらいの鉢に植え替えましょう。大きな鉢への植替えは厳禁!です。
花屋の店頭には11~1月頃に出回りますが、家庭で育てると3~4月頃に花を咲かせます。家庭で咲かせる場合は、冬の花というよりは春の花ですね。
花鉢の【シンビジューム(シンビジウム)】まとめ
シンビジューム(シンビジウム)のまとめです。
・寒さに強いので冬の贈り物におすすめ
・寒い場所に飾ると長持ち
・水が大好きな蘭
・植替えはせず、そのまま育てるのが来年も咲かせるコツ
寒い冬の贈り物には寒さに強いシンビジュームがぴったり。
蘭というとちょっと難しそうなイメージがあるかもしれないけれど、シンビジュームはとっても丈夫な植物です。お花を楽しんだら、翌年咲かせるのにチャレンジしてみるのもいいですね。
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