春の定番人気切花といえば、チューリップ。小さな子供から大人まで、誰もが知っている花の代表です。
小さいころ絵に描いたようなチューリップ以外にも、いまは色々なチューリップの品種が楽しまれています。切花で出回っているチューリップでも、一見すると「これがチューリップ⁉」と思ってしまうような咲き方の種類も。
今回は、切花で出回っているチューリップの【咲き方】を分類し、それぞれの特徴や飾り方のコツをまとめました。
覚えておきたい!咲き方は6種。
【一重咲き】のチューリップ
手に入れやすく、誰もが「チューリップだ!」とわかるのは一重咲きのチューリップ。
もっとも多く流通しており、1月~3月の花屋さんで一番簡単に手に入れられる種類でしょう。色も赤・ピンク・白・黄色・オレンジ・紫など豊富にあります。
明るい場所・暖かい場所では、花が開きます。一重咲きは花びらが少ないので、おしべやめしべが見えるくらいグワっと開くことも。
まだ色が出ていない緑色のつぼみで出回ることも多いですが、時間がたてばきちんと色がのってきて咲いてくれます。
葉がべろーんとなりやすいので、適度に葉を取って飾るとよいでしょう。咲き進んできたら徐々に丈を短くして飾るとバランスよく最後まで楽しめると思います。
【八重咲き】のチューリップ
ぽってりボリュームが可愛い、ころんと咲く咲き方が八重咲きです。
切花として多く出回っており、赤・ピンク・黄色・オレンジ・紫など品種もいろいろあります。
葉の付き方がやや下寄りのものが多く、どちらかというと花をメインで楽しむ飾り方が向いているような気がします。メインの花の横に小さなつぼみがついているものも多い。
花弁が多いので、花が咲き進んでも中が見えてしまうほど開いた感じにはならず、最初の印象が長く続きます。
八重咲チューリップ・有名な品種
●アンジェリケ(淡いピンク)
●モンテオレンジ(オレンジ)
●ベロナ(クリーム色)
●ブルーダイヤモンド(紫)
など
【ユリ咲き】のチューリップ
すっと尖った花びらがエレガントな咲き方が、ユリ咲きです。
一重咲きや八重咲きに比べると、花屋さんで見る頻度は低いかもしれません。赤・ピンク・黄色・オレンジ・紫など品種はありますが、お店にずらりと並ぶことは少ないかも。
咲き進むと花が大きく開き、のびやかな印象。茎や葉と一緒に花姿全体を楽しむのに向いています。
ユリ咲チューリップ・有名な品種
・バレリーナ(オレンジ)
・プリティウーマン(赤)
など
【フリンジ咲き】のチューリップ
フリルのついた花びらが可愛い、フリンジ咲きのチューリップ。花びらのフチがギザギザしています。
ピンク・黄色・赤など品種はありますが、こちらもたくさん見かけるわけではないです。
咲き進むと花はぽってり大きくなりますが、ぱかっと開く!というほどではない。比較的、最初のかたちを保ったままでいてくれる咲き方です。
【パロット咲き】のチューリップ
絵画のようなドラマティックさが魅力のパロット咲き。パロットとは英語でオウムのことで、鳥の羽のような花びらが特徴です。
こちらもなかなかお花屋さんで並んでいるのを見ることは少ないかもしれません。
今回紹介する咲き方の中ではもっとも大型。花も大きいし、茎の丈も長いものが多いです。
咲き進んでいく姿がもっとも面白く、茎の動きや花びらが開いていく様子が日々変わるのは見ていて飽きません。
やや茎(花首)が柔らかいのが特徴で、咲き進んでくると花の重みでぐにゃりと下向きになることも。
そうなったら、棚の上などに飾って枝垂れるような姿を楽しむのも良いし、思い切って短くカットして花だけを楽しむのもおすすめです。
パロット咲チューリップ・有名な品種
・フレミングパロット(赤と黄色の複色)
・スーパーパロット(グリーン)
・ブラックパロット(濃い紫)
など
【クラウン咲き】のチューリップ
最近出てきたタイプで、王冠をイメージさせる個性的な咲き方です。
まだ新しい種類なので見かける頻度は少ないのですが、チューリップが多く出回っている季節(2月)なら店頭で見ることがあるかもしれません。
白・淡いピンク・黄色などの品種があります。
ユリ咲きっぽいのですが、花びらの先端にくるんとねじれがあるような感じ。
茎の伸びやすさや柔らかさは、一重咲きチューリップと同じくらい。短くカットして飾っても可愛らしいです。
クラウン咲きチューリップ・有名な品種
・ダイナスティクラウン
・イエロークラウン
・ホワイトリバースター
など
切花を活けるなら知っておきたい・チューリップに共通の特徴
チューリップは開く!伸びる!姿が変わるもの。
チューリップに関して声を大にして言いたいのは、チューリップは買ってきた姿がそのまま続くわけではないぞ!ということ。
切花には、買ってきたときの姿がそのまま続いて保つものと、つぼみなどが咲き進んで形を変えながら保つものがあります。チューリップは明らかに後者。
ひかえめだったチューリップの花は大きく開き、茎もぐんぐん伸びます。最初はぎゅっとしていた葉もそのうちベローンとなって、のびのびとした姿は買った日のチューリップとは別人のよう。
でも、チューリップの切花は「そういうもの」です。
光に向かって動いたり、花びらを開いたり閉じたり、その生命力こそ魅力のひとつ。姿を変えていく様子を楽しむつもりで飾ってください。
なるべく姿が変わらない方が良い場合は、八重咲きやフリンジ咲きを。ぐんぐん伸びて姿が変わるのを楽しむなら、ユリ咲きやパロット咲きをおすすめします。
水の減りに注意。
活けた後もぐんぐん伸びていくチューリップは、水の吸い込みもすごいです。ふと気づいたら花瓶の水が半分になってた!ということもあるので、水の量はよく見ておいてくださいね。
葉っぱは取る?取らない?
活けるとき迷うのは、チューリップの葉っぱの扱いです。取るべき?でも全部取っちゃったらチューリップらしくないよね?
残念ながら正解は特になく、「状況に応じて」としか言えないのですが、私の場合どうするかをご紹介しておきますね。
まず、買ってきたチューリップを見て、花瓶の水に浸かりそうな位置の葉っぱは取ります。そして最初は上の葉1~2枚はつけたまま飾ります。(その方がチューリップらしくて可愛いですもんね)
1週間ほどたつと茎が伸び、花が大きく開き、葉っぱがベロンとなってきたりします。そうなったら、短くカットして花だけを飾ります。まだ使えそうな葉があればそれも添えてみたり。
花のもちだけを考えると葉はないほうが良いのですが、最初から全部取ってしまうのはちょっと寂しい。ということで、こんなふうに段階にわけて楽しんでいます。
葉っぱの取り方などの基本はこちらの記事にまとめています↓
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以上のように、チューリップはどんどん姿を変えていく花。それに応じて活け変えていくのが長く楽しむコツといえます。
そんな過程も楽しみに感じられるようになると、チューリップをぐっと深く知ることができるのではないかと思います。旬の季節にはぜひ一度、チューリップとのんびり付き合う期間をつくってみてはいかがでしょうか。