冬の花壇を彩る、色とりどりのキャベツみたいな植物といえば、「ハボタン」。じつは江戸時代から楽しまれている、日本人にとっては古くなじみのある植物です。
お正月花のイメージも強く、最近では切花としても多く見かけるようになってきました。
今回は、そんな「ハボタン」をご紹介します。
ハボタンってこんなお花!
ハボタンの基本情報です。

ハボタンの基本情報
学名:Brassica oleracea var. acephala
分類:アブラナ科 / アブラナ属
和名:葉牡丹 英名: ornamental cabbage, flowering kale
原産地:ヨーロッパ
切花としてのハボタンの出回りは、ほぼ12月に集中しています。お正月花材という位置づけなのですね。
一部産地で2月ころまで出荷しているところもあるようです。様々な品種が出てきていますので、お正月にとらわれない使い方も、これから広がっていくのかもしれません。
価格は1本200~400円くらい。大きさや品種によってかなり幅があります。色味は、白系・紫系・ブラック系など。丸葉のもの、葉に切れ込みが入っているものなど、品種は様々です。
ハボタンの切花の飾り方・日保ちについて。
ハボタンの切花、日持ちはする?
ハボタンは「花」ではないので、とても日持ちがよいです。下葉の方から黄色くなっていくので、黄色い葉っぱを取り除いていけばかなり長い間楽しめます。

お正月用に買ったものは、1カ月以上もつこともザラ。合わせる花を変えながら楽しんでみましょう。
ハボタンの飾り方・飾るときの注意など。
ハボタンの茎に点々とある跡は、「葉かき」のあと。切花用のハボタンは茎が長くなる品種。本来は下まで葉がついているのですが、出荷前に生産地で下葉をかきとってから出荷されます。

丁寧に一枚ずつ取るそうで、けっこうな労力だろうなあ…と思います。

水あげは良いので、茎を斜めにカットするか、太いものは割りを入れてもよいでしょう。
年末の花屋さんで、吹きっさらしの屋外に置かれていたりすると水が下がってしまうことがあります(かわいそうなハボタンけっこう見かけます)。
葉っぱに元気がないなーと思ったら、新聞紙で巻いて水の中で茎をカットし、しばらくおいておくとしっかり水があがります。
ハボタンの花言葉は?

花言葉は、『利益』『祝福』『慈愛』『包む愛』 など。
キラキラ、青や紫…「染めのハボタン」
ラメつき、インク染めのハボタン
切花のハボタンは「染め」や「ラメつき」が盛んに出回っています。「葉牡丹」の名前のとおりまるでボタンかバラのよう。色付きもなかなかカワイイです。
市場で見かけた染めハボタンたち。



いやー、カラフルですね。好みはあるでしょうが、染めがいのある花材なのでしょう。
染めだからといって、花もちには特に影響はないです。長く飾っていると成長してきて「染まってない部分」が出てきたりします。
ハボタンの豆知識いろいろ。
ハボタンの歴史 ~もとは食用だった⁉~

ハボタンが日本にやってきたのは江戸時代前期で、当時は食用として輸入されたものでした。(いまや青汁で有名な「ケール」みたいなものだったようです)
「葉牡丹」という名前で紹介されたのは、1778年にまとめられた「本草正正譌(ほんぞうせいせいか)」。「ボタンナ、一名ハボタン」と記載したのが最初だそうです。
その後日本で品種改良が重ねられ、現在のような観賞用ハボタンとなりました。1980年代頃から花壇用のハボタンが広く出回り始め、冬花壇の定番に。
その後、茎の長い切花用品種が開発され、1990年代から切花のハボタンが出回るようになりました。ここ数年はすっかりお正月用の花として定着しています。
江戸時代に渡来した植物はたくさんあれど、食用から観賞用に用途が変化するのはなかなか珍しいことなのではないでしょうか。
いまや日本で改良された切花用ハボタンがオランダに輸出され、ヨーロッパのフラワーデザイナーにも使われています。すごい逆輸入!ハボタンは、園芸好きな日本人が生み出した植物なんですね。
切花のハボタン、まとめ。
ハボタン、まとめです。
・お正月に欠かせない素材で、葉を鑑賞するキャベツの仲間
・切花として出回ってきたのは最近(1990年代以降)
・次々と品種が開発されている注目花材!染めも多い!
・江戸時代に渡来したときは食用だった!日本人が園芸用に改良した植物。
いまはお正月花材のイメージが強いですが、新しい品種や染め技術によって、そのうち春の切花と楽しむ花材になるかもしれません。
新しい品種もどんどん出てきて、これからが面白い花材のひとつ。ぜひ注目して見てみてくださいね。
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参考サイト
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