オリンピックの表彰式でメダリストたちに渡されるビクトリーブーケ。
主役は選手とメダルかもしれないけど、あのブーケの存在も表彰式には欠かせません。
そして我々のような花の仕事をしている人間は、「これ何の花使ってるのかな~?」と毎回地味に注目しているのです…!
今回は2020年東京オリンピックを前に、今までの夏季オリンピックのビクトリーブーケを遡ってまとめてみました。
1984年ロサンゼルス五輪のビクトリーブーケ
表彰式でビクトリーブーケを渡すようになったのは、84年のロサンゼルスオリンピックからと言われています。
使われている花材は
ストレリチア
オンシジウム
ガーベラ
リアトリス
など。鳥のくちばしのようなストレリチアが長く特徴的に使われていますね。
写真はこの大会から正式種目になったシンクロナイズドスイミングの表彰式。デュエットで木村選手と元好選手が銅メダルを獲得しました。
その他、柔道の山下泰裕選手や体操の森末慎二選手が金メダルを獲得した大会でした。
1988年ソウル五輪のビクトリーブーケ
韓国のソウルで行われた1988年のソウルオリンピック。水泳の鈴木大地選手が金メダルを獲得したり、シンクロナイズドスイミングの小谷実可子選手、体操の池谷幸雄選手が銅メダルを獲得したことも話題になりました。
使われているお花は
グラジオラス
白いスプレーマムか小菊(デージー?)
です。ロサンゼルス五輪と同様、縦に長いタイプのブーケですね。
ロサンゼルス五輪のブーケはシンプルに花が束ねてあるだけでしたが、ソウル五輪ではリボンやラッピングペーパーも使われています。赤青白3色のリボン、黄色や赤のラッピングペーパー。セロファンも使われているように見えます。
1992年バルセロナ五輪のビクトリーブーケ
スペインのバルセロナで開催された1992年のバルセロナ五輪。
14歳だった岩崎京子選手の金メダルや、マラソンの有森裕子選手の銀メダルが話題になりました。また、柔道女子が正式種目になったのはこの大会から。まだ高校生だった田村亮子選手も出場しています。
使われているお花は
リモニウム(ブルーファンタジー)
赤いスプレーカーネーション
この大会は、縦に長い花束ではなく、丸いブーケ型。リモニウムでふんわりボリュームを出し、中にスプレーカーネーションの赤い色が見え隠れするデザインです。
ハンドル部分(手で持つところ)が赤いリボンで巻き上げられていて、色のアクセントになっていますね。
1996年アトランタ五輪のビクトリーブーケ
アメリカのアトランタで開催された1996年アトランタ五輪。
写真は女子柔道61㎏級で金メダルを獲得した恵本裕子選手。その他、柔道の野村忠弘選手なども金メダルを獲得しています。
使われているお花は
ヒマワリ
ケイトウ
スカシユリ
など。白いお花はなんだろう?あと、オリーブが入っているようにもみえます。
かたちは、1988年ソウル五輪のブーケに似ていますね。背中があって片面から見るタイプのブーケ。ヒマワリがぱっと目立って印象的です。グリーンと白のストライプのリボンが蝶々結びになっています。
2000年シドニー五輪のビクトリーブーケ
2000年代最初のオリンピックは、オーストラリアのシドニー五輪。
写真はシンクロナイズドスイミングで日本チームが銀メダルを獲得した表彰式。その他、マラソンで高橋尚子選手が金メダル、柔道で田村亮子選手が初の金メダルを獲得し、話題になりました。
使われているお花は
ワラタ
カンガルーポー
クラスペディア
などなど、オーストラリアのワイルドフラワーばかり!オーストラリアらしいブーケで素敵だなあ、と思ったことを覚えています。
リボンはなし、ハンドル部分にベージュのリボンで巻き上げがあるだけの、シンプルなブーケでした。
きゅっとまとまった丸いブーケスタイルは、現在よく使われるビクトリーブーケの典型ですね。
2004年アテネ五輪のビクトリーブーケ
21世紀初の夏季オリンピックは、ギリシャのアテネで開催されたアテネ五輪。
水泳の北島康介選手や、ハンマー投げの室伏広治選手、マラソンの野口みずき選手が金メダルを獲得するなど、日本人選手の活躍も話題になりました。
ギリシャはオリンピック発祥の地ということで、植物にもこだわりがありそう。
ブーケに使われているお花は
オリーブ
ガーベラ
ソリダゴ
など。とにかくふんだんのオリーブの枝!そしてメダリスト全員にオリーブの冠が渡されました。
そもそもオリーブの冠は、古代ギリシャの英雄ヘラクレスがオリンピアの庭に植えたオリーブの枝を、オリンピックの勝者に与えたことが由来。
まさにオリンピック発祥の地であるギリシャならではのビクトリーブーケでした。
2008年北京五輪のビクトリーブーケ
2008年は中国で開催された北京五輪。水泳の北島康介選手が金メダル、体操男子団体・個人総合では内村航平選手が銀メダルを獲得するなど、日本選手も活躍しました。
使われている花は、
赤バラ
カクトラノオ
ギボウシ
など。豪華に赤バラが使われ、赤いリボンが垂れ下がる印象的な「赤いブーケ」でした。ブーケのかたちは縦長タイプ。
2012年ロンドン五輪のビクトリーブーケ
2012年はイギリスで開催されたロンドン五輪。
このときはブーケが大きく話題になりました。
使われている花は、
黄色・オレンジ・緑・ピンクのバラ
ローズマリー
アップルミント
ラベンダー
小麦
ジェーン・パッカーによるデザインで、イギリス産の花材を使って作られたことでも話題に。英国らしいバラを中心に「香りがする」ことも重要なポイントとして花材が選ばれました。
色彩や花の意味、国産であることのこだわり、ジェーンパッカーという有名フローリストによる制作であったことなど、今までになくオリンピックのビクトリーブーケが注目された大会だったのではないでしょうか。
https://flowerona.com/london-olympics-2012-the-victory-bouquet-key-facts/
2016年リオデジャネイロ五輪はビクトリーブーケがなかった!
2016年はブラジルで開催されたリオ五輪。
2020東京五輪も決まって、リオはどんなブーケなのかな~なんて思っていたらなんと、ビクトリーブーケなし!!
これは、東京五輪を控えた花業界の人たちには衝撃でした。ブーケなしって、そんなのあり!?と。
ただこれにはきちんと理由があり、今回のリオ五輪でブラジルから世界へのメッセージの一つは「環境保護」。開会式で植物の種を選手たちに配り、将来の「アスリートフォレスト」を作るという企画もありました。
メダリストに渡される副賞が花ではなくオブジェ(?)だったのも、帰国する選手は生花を持ち帰れないから。
花はゴミになってしまうから、ということにはちょっと異議を唱えたいですが、ともかくブラジルは「サステナビリティ」「環境保護」という視点から、ビクトリーブーケを採用しませんでした。
2020年東京オリンピックはどうなる?
ということで、1984年のロサンゼルスオリンピックから歴代のビクトリーブーケを見てきました。
オリンピックはどの国も一大事業。ブーケにもそれぞれ意味が込められています。
2020年、東京オリンピックでは、日本はどんなメッセージをブーケで世界に伝えるのでしょうか。お花業界のすみっこから、注目していきたいと思います。
追記:2020東京オリンピックのビクトリーブーケ決定!
2019年11月、東京オリンピックのビクトリーブーケが発表されました!
復興の象徴である東北の花を使い、ぎゅっと束ねたラウンドタイプ。ハンドル部分には東京オリンピックのマスコット「ミライトワ」「ソメイティ」がくっついています。
花材については別記事で解説しました。
>>2020東京オリンピックのビクトリーブーケ決定!使われている花を徹底解説!
こちらもぜひご覧ください。
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「この花の名前は何?」写真送ってくれたらお答えしています!
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