3月はミモザの季節です。
ミモザは「アカシア」という樹の花のことを差した総称なので、ミモザという花はないんだよ、という説明をすると
「じゃあ、アカシアはちみつもミモザなんですね!」
とか、
「歌によく出てくる”アカシアの雨”のアカシアもミモザなんですか?」
などと聞かれることになります。
結論から言うと、本当にややこしいのですが、
そのアカシアはミモザアカシアのアカシアとは別物です。
何故そんなややこしいことになっているのか。なるべくわかりやすく解説してみたいと思います。
ミモザという花はないんだよ、という話はこちらの記事にまとめました。
アカシアが出てくる歌にはどんなものがある?
私の世代で一番に思い浮かぶのは、NOKKOの『人魚』です。”アカシアの雨にうたれて泣いてた~” から始まる切ないメロディは今も耳に残る名曲。
また、1960年に発売された西田佐和子の『アカシアの雨がやむとき』も有名です。これは同タイトルで映画にもなっています。
松任谷由実の『acacia』もアカシアですね。”銀の花が散ってる風””銀の花の押し花栞にしてはさんだ”などの歌詞が登場。
レミオロメンの『アカシア』もあります。歌詞の中には”アカシアの並木道” や “アカシアの香り”といったフレーズが出てきます。
最近では、EXILE THE SECONDの『アカシア』という曲も。”ゆらりとアカシアが舞い散る”という歌詞があります。
それぞれ歌詞を読んでみると、歌に歌われるアカシアにはこんな共通点がありそうです。
・風や雨が一緒に出てくる
・香りがある
・並木道
・銀色の花
どうやら、黄色いミモザアカシアとは別物っぽいですよね。
そのアカシアは『ニセアカシア』のこと。
じつは、歌に歌われているアカシアはこんな花。
ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)
マメ科 ハリエンジュ属/落葉高木
原産地:北アメリカ
和名:ハリエンジュ
日本には明治時代に導入され、街路樹や公園の樹として広まりました。白い花の季節は初夏。こぼれるように咲く房状の花が美しいですね。
「アカシアはちみつ」として売られている蜂蜜は、このニセアカシアの花の蜜なのです。
ちなみに、黄色い花が人気のミモザは
ミモザアカシア(Acacia dealbata)
マメ科 ネムノキ亜科 アカシア属
原産地:オーストラリア
となります。
『ニセアカシア』が”アカシア”と呼ばれている理由。
何故ニセアカシアなのにアカシアと呼ばれているのかというと、明治時代に日本にもたらされたときに「アカシア」という呼び名で呼ばれていたためです。
夏に白い花を咲かせるニセアカシアの樹はインパクトもあり、蜂蜜として利用されるときも「アカシア」と表記されたため、それが定着してしまったものと思われます。
のちにミモザの仲間である「アカシア」が入ってきて、呼び名がややこしいことに。
『ニセアカシア』という名前は、学名の pseudoacacia をそのまま読んだもの。ニセアカシアは学名でも、ラテン語でpseudo(ニセの)acacia(アカシア)という意味なのです。
“アカシアの雨”というフレーズ。
「アカシア=白い花の樹」のイメージがこれだけ定着してしまったのには、たくさんの歌に歌われていることがひとつの要因でしょう。
そのなかでも、”アカシアの雨”というフレーズが度々登場するのはどういう意味なのでしょうか。
これは、満開になったニセアカシアの樹から白い花が降り注ぐように散る様子が、まるで雨を降らせているようだから、だと言われています。
「風」と結びつけて詠われることが多いのも、満開になったニセアカシアの白い花が揺れる様子が特徴的だからなのでしょう。
結論:その”アカシア”、ミモザとは関係ありません!
結論です。
アカシアはちみつのアカシアも、ユーミンやレミオロメンやEXILEのアカシアも、
ミモザアカシアとは関係ありません!
そのアカシアは、“ニセアカシア”という別の樹で、初夏に白い花をたくさん咲かせる樹のことなのでした。
……ややこしいけれど、解決になったでしょうか。
この歌にも「アカシア」が出てくるよ!とか、その見解は違うのでは?などありましたら、ぜひ教えてください\(^o^)/
メモ:
秋田県の十和田湖近く、小坂町というところに、国内最大級のニセアカシア林があるそうです。6月上旬、花の咲く季節には「アカシアまつり」が開催され、多くの人で賑わうのだとか。「かおり風景100選」にも選ばれています。
降り注ぐ”アカシアの雨”を実感してみたい人は、足を運んでみてはいかがでしょうか。(小坂町アカシアまつり)