年末が近づくと、お正月関連の商品を扱うことが増えてきます。
門松。しめ縄。輪飾り。ウラジロにユズリハ…
年に一回のことなので、うちでは何が必要なんだっけ??と思い出すのに苦労する方も多いのではないでしょうか。
売る方の花屋スタッフも、お客さんに聞かれて初めて「あれ、ごぼう締めってなんだっけ?3尺って何cmだっけ?」と慌てる方も多いのでは。
年末が近づく前に復習しておきたい、一般的なお花屋さんで扱う「お正月飾り絡みの商品」をまとめてみました。
なお、こういったお飾りなどの風習は、地域によって異なるものも多いです。私は東京で働いているので【関東版】ということでご了承ください。
しめ縄各種
稲や茅などで綯ってつくった「しめ縄」や「輪飾り」。
大根締め
太いしめ縄は「大根締め」。紙垂(白い紙を折ってひらひらしたもの)をつけて、神棚に飾ります。2尺~6尺くらいで色々な長さがあります。
神棚に付けるときは、こちらから見て太い方を右側に。
ごぼう締め
大根締めより細身なのが「ごぼう締め」。使い方は大根締めと同じです。
輪飾り
小さなリース状のわっかに、藁の足がついているような簡易的なしめ縄飾り。ウラジロや紙垂が付いているものと、何も付いていない土台だけのものがあります。
ウラジロとユズリハをつけて玄関に飾ったり、若松の門松に付けて使われています。
裏口や室内のドア、台所まわりに飾ったりもするようです。一軒でいくつも買われる方もいます。
門松
玄関などの両脇に1対(いっつい)で飾るのが門松。
本格的な門松
3本の竹を松で囲み稲藁のムシロでくるんだ飾り。玄関の門の左右に1対立てて飾ります。大きなおうちやマンション、商店では飾っているのを見かけます。
輪飾りをつけたり、南天や梅の枝が飾られているものも。竹の切り口が斜めのものは「そぎ」平らなものは「寸胴」といいます。
これは主に造園屋さんや鳶職の方の仕事。花屋で販売していることは少ないです。
簡易的な門松
花屋さんでよく売っているのは、大きめの若松を1対セットにした「門松」。本格的な門松は一般の家庭には置けないので、こちらを飾る方が多いでしょう。
ウラジロを付けた輪飾りをひっかけて飾るのが一般的。
門松風のアレンジや置物
本格的な門松を模して、ミニチュア門松が置物として売られたりもします。門の外(屋外)に飾るというよりは、玄関やリビングなど室内で楽しむものでしょう。
お飾りに使う植物花材
輪飾りに付けたり、鏡餅の下に敷いたりする縁起物の植物。古くからやっているお花屋さんでは、単品で販売することもあります。
裏白(ウラジロ)
葉っぱが1対に開いた形のシダの仲間。シダは「齢垂る」にかけて長寿の意味があり、正月の注連飾りに用いられています。ウラジロは裏が白いことから、「心の潔白さ」と「白髪になるまで長生きする」を表すとも。
販売しているときはキレイな形でも、飾るとすぐ乾燥してくるっと丸まってしまいます(そういうものなので仕方ない)。
輪飾りに付けて飾ったり、鏡餅の下に敷いたりします。色が白い方(裏)を表にして飾ります。
楪(ユズリハ)
常緑の樹木ユズリハ、お飾りでは葉っぱのみが使われます。
新しい葉が開いたあと古い葉が枯れ落ち、その姿がまるで古い葉が新しい葉と交代する(譲る)ようにみえるのでユズリハという名前がついたそう。家が代々続くようにと縁起物として使われます。
輪飾りに付けて飾ります。鏡餅に添えるところも。
しめ縄飾り(玄関ドアなどに飾るもの)
玉飾り
関東の伝統的な玄関飾りは「玉飾り」。稲藁や茅でつくったしめ縄土台に、松・裏白・ユズリハ・昆布・橙などをつけて飾り付けた縦長のしめ縄飾りです。
スーパー・ホームセンター・お花屋さんでも売っていますが、年末になると専門の市が立ったり屋台が出たりしますね。
現代風のドア飾り(リースなど)
玄関に飾るしめ縄飾りを現代風にアレンジしたものです。玉飾りはちょっと大きくて大袈裟だし、現代の生活に似合う小さなものが色々売られています。
クリスマスリースを飾る家もふえましたし、同じような感覚でお正月もしめ縄リースを飾る…という感じ。スーパーやホームセンター、100円ショップなどでも売っていますね。
土台を買ってきて好きな飾りをつけるワークショップなども人気。お花屋さんとしては個性が出せて、工夫のしがいがありますね。
まとめ。
おおまかに花屋で扱っている「正月飾り」関連の商材はこんな感じではないでしょうか。現代風のお花屋さんでは、大根締めや輪飾りは売らないかもしれませんね。
門松や玉飾りなどは本来、庭師や鳶職の方々の管轄。花屋としてはお正月を彩る「花」を売るのが本職かなあと思います。
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