バラに次ぐ、切花の王様『ユリ』。
豪華なアレンジや花束には欠かせない花材のひとつです。色や種類も豊富で、花屋でも名前を覚えるのも大変なほど。
今回はそんな『ユリ』をご紹介していきます。
ユリってこんなお花!
ユリの基本情報です。
ユリの基本情報
学名:Lilium
分類:ユリ科 / ユリ属
和名:百合 英名:Lily
原産地:アジア・ヨーロッパ・アメリカなど北半球の温帯
ひとくちに『ユリ』と言っても様々な種類があります。そのなかでも、花屋さんで切花として流通しているユリは主に以下の4種。
・オリエンタル系ユリ
・テッポウユリ
・スカシユリ&LAユリ
・原種系のユリ
それぞれの詳しい分類については、別記事にまとめました。興味のある方はどうぞ。
原種系のユリ以外の「オリエンタル系」「テッポウユリ」「スカシ系」のユリたちは、一年中出回っています。
品種によっても差がありますが、値段はだいたい
オリエンタル系:1本600円~2000円
テッポウユリ:1本300~600円
スカシ系:1本300円~500円
というところでしょうか。
いずれも入荷したときはつぼみの状態で、徐々に花が開いていきます。つぼみが多く、ゆっくり咲くのはオリエンタル系。スカシユリ系はつぼみが3~4輪のものが多く、咲くのが早めです。
ユリの切花の飾り方・日保ちについて。
ユリの切花、日持ちはする?
「持ちがいい花はなんですか?」と言われたとき必ず「ユリ!」と答えるくらい、もちが良い花の代表。
ただし、「放っておいてずっとキレイな」持ちの良さではありません。
つぼみは下から順番に咲いていき、先端のつぼみまで(ほぼ)咲きますが、先に咲いた花は順に枯れていきます。
傷んだ花は切り落とし、新しく咲いてきたつぼみは花粉を取らねばなりません。放っておいてずっとキレイなわけではないのです。
「花を順々に楽しめる」という意味では、とっても持ちの良い花です。
水に浸かる部分の葉は取り除き、茎をななめにカットして活けましょう。
ユリを飾るときの注意は『花粉』。
ユリを飾る際に避けて通れないのが「花粉」と「香り」です。ひとつずつ解説しましょう。
まずユリの「花粉」。
ユリの花が咲いてくると、雄しべの先端に赤い袋のようなものがついているのが見えます。これは花粉がしまわれている「葯(やく)」。
時間が経つと葯が破れて花粉が出てきます。この粉が洋服につくとなかなか落ちない厄介者。
お花屋さんでは花粉は取り除いて販売していますが、売るときにつぼみの状態だった花の花粉までは取れません。
花粉がついていたって別にいいのですが、手に付いたり服に付いたり床に落ちたり何かと面倒なので、取り除くことをおすすめします。
取り除くときは、まだ粉の出ていない状態で取り除くのがおすすめ。
つぼみが開いて花粉が見えたら、早めに取り除きましょう。
ユリは『香り』にも注意。
ユリは芳香の強い花です。
香りの強さは
オリエンタル系>>テッポウユリ>スカシユリ(ほぼ芳香なし)
オリエンタル系の大型のユリはかなり強い香りがあります。狭い場所に飾る際は、やや注意が必要。病室へのお見舞いなどには避けた方が無難です。
ただ、この香りが大好き!という人もいて、ユリの魅力のひとつではあります。強い香りがあるということをふまえて、楽しみましょう。
ユリの花言葉は?
花言葉は、『純粋』『愛らしさ』『威厳』 など。
ギリシャ神話やキリスト教でも重要な位置づけをされています。キリスト教では、白いユリは聖母マリアの象徴。
そこから、清純、純潔、母性などのイメージが花言葉に結びついているようです。
色別の花言葉もあります。
白:純潔・威厳
赤:虚栄心
オレンジ:華麗
黄:偽り
気になる!品種いろいろ。
八重咲きのオリエンタルユリ
最近話題になったのは、「オリエンタルユリの八重咲き」。市場でも見かけることが増えてきました。
うーん、すごいインパクト。
八重咲きは雄しべが変化したものなので、花粉がないものが多いのも、切花としては使いやすいですね。
季節限定!楚々とした原種系ユリ
あまり店頭には並びませんが、6~7月限定で出回る「原種系のユリ」の仲間があります。
日本固有の種である「オトメユリ」「ヒメユリ」「ササユリ」「竹島ユリ」など、いずれも小型で楚々とした雰囲気のあるユリです。
通年出回るオリエンタルユリなどとは、まったく違うタイプの魅力があります。
生産者も少なく、価格も小さい割には高価。なかなか店頭には並びづらいのですが、みつけたらぜひ飾ってみてほしいです。
合わせたいお花、おすすめの使い方。
品があって高級なギフト。
ユリのイメージはやっぱり「高級」「品格」。目上の人に贈るギフトや、あらたまった贈りものに使うのがおすすめです。
また、白のオリエンタルユリやテッポウユリは、お悔やみや仏用にも使われます。高級感を出すフォーマルなアレンジに鉄板なのです。
ユリに合わせたいお花は?
品があって大きなユリに似合うのは、ランやバラやトルコキキョウなどの華やかな花。小花や野草のような雰囲気の花より、高級感で攻める方がおすすめ。
花はユリだけにして、おおぶりな枝物や葉物を合わせるのも素敵です。
咲くのに時間がかかります→ギフトはぜひ予約を!!
市場で流通している切り花のユリは、ほぼつぼみの状態です。つまりお花屋さんが仕入れてくるとき、ユリはほぼつぼみなのです。
ユリを使った花束の予約が入っている場合、花屋は少し前にユリを仕入れ、1輪めを咲かせて花束をつくったりします。
ウエディングブーケにユリを使うときなんかは、もっと大変。1週間前から何本もユリを咲かせ、一番きれいに咲いた花を使うのです。
急遽入った注文だと、咲いてるユリがない~!なんてこともあり。ユリを主役にした花束を贈りたい!というときは、1週間前くらいに予約をしてもらうとありがたいのです。
切花ユリの有名産地は?
オリエンタルユリで有名なのは、新潟県の津南。高知県の高石など。
スカシやLAユリで有名なのは、埼玉県の深谷など。
1年を通じて必要とされるユリは、日本全国に生産地があり、季節ごとに出荷がリレーされていきます。
切花のユリ、まとめ。
切花のユリ、まとめです。
・お花屋さんに売られているユリは「オリエンタル系」「テッポウユリ」「スカシユリ系」がある。
・つぼみまで咲くので長く楽しめる!
・咲いたら花粉は取り除きましょう
・香りが強い種類もあるので、使うときは注意。
歴史もあって、みんなが知っている花のひとつ『ユリ』。いつでも手に入る定番の花ですが、新しい品種も次々生まれています。
あらためて向き合って飾ってみると、新鮮な発見もあるはず。ぜひ飾ってみてくださいね。