秋が深まって冬に向かう季節、花鉢の種類は少なくなってきます。そんな中で目を引くのは、花色が白〜ピンクで明るく可憐な『ルクリア』。
9月頃から出回り始めるため、敬老の日の贈り花の定番のひとつでもあります。開花期は11月〜1月頃なのですが、9月に入るとお花屋さんの店頭に並びます。
可憐な色や花形とともに、やさしい花の香りも魅力。「ニオイザクラ」や「アッサムニオイザクラ」という名前で並んでいることもあります。
今回はそんな『ルクリア』をご紹介します。
ルクリア(アッサムニオイザクラ)とは?
ルクリア(アッサムニオイザクラ)の基本情報です。
分類:アカネ科 / ルクリア属
原産地:インド・アッサム地方〜ヒマラヤ高原〜中国・雲南省〜ベトナム 主に標高1300m-2500mの高原
和名:ニオイザクラ、アッサムニオイザクラ
英名: Luculia
ルクリア属は広大な原産地に5種の原種が分布している常緑低木または小高木です。
上品な芳香とその花色から桜を想起するため日本ではニオイザクラ、または原産地でもあるアッサム地方の名を冠してアッサムニオイザクラとも呼ばれています。
お店で見る花鉢としては、5~6号鉢が多いでしょう。よく出回るのは、9月~11月頃。色は白から薄いピンク、最近では濃いピンクの品種もあります。
よく見かける品種は、ピンク色の「スイートルビー」「シャルロッテ」、白い「ホワイトパール」、それから山梨県で作出された濃いピンクの「紅富士」など。
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日本に入ってきたのは1970年代。日本の生産者の方々のたゆまぬ研鑚によって、品種改良と栽培技術が大きく発展しました。
日本では、ルクリア・ピンセアナ(L.Pinceana)とルクリア・グラティッシマ(L. gratissima)の2種から改良された品種が多く市場に出回っています。主な生産地は富士北麓地域です。
ルクリア(アッサムニオイザクラ)の花言葉は?
花言葉は「優美な人」「しとやか」「匂いたつ魅力」など。
「ルクリア」という名前の由来は、ネパール語でのルクワ・スワ(Lukwa Swa )という呼び名からきているそうです。
上手な選び方のポイント
ルクリアの自然開花は11月~12月。
それ以前に出てきているものは、促成栽培といって、人工的に寒い状態をつくって花を咲かせているものです。(最近は母の日に出回るものもあるそう…スゴイ)
なので、たとえば8月の終わりや9月頃に出回っているものは、お店に並んだときにすごく「気温差」を受けているわけです。
お店での環境に慣れていれば大丈夫なのですが、寒いハウスから来たばかりのものを急に暑い場所に置いたりすると、傷んで枯れてしまうこともあります。
きちんと作られているしっかりした産地のものを選ぶこと、そういったリスクをちゃんとわかっているお店で買うことが大事です。
より自然開花時期に近い、秋が深まってから出回っているものを買うのも失敗を避けるひとつの方法ですね。
買ってきたあとの楽しみ方・置き場所・管理方法
ワンシーズンたっぷり楽しむための育て方や管理方法をご紹介します。
置き場所は?
買ってきたばかりの、花やつぼみのついている状態の鉢は、室内の明るい場所に置きましょう。
日当たりは大好きな植物ですが、暑すぎる場所は苦手。西日が当たるような場所は避けてください。
そして、寒すぎるのも苦手です。冬は気温8℃を下回らないように気をつけましょう。
水やりは?
鉢土の表面が乾いてきたら、底から水が流れ出るまでたっぷりお水を与えましょう。根腐れを防ぐために、受け皿にたまった水はそのままにせず空けること。
乾きすぎると、蕾が開かなかったり花が痛んだりするので、土の様子はこまめにチェックしましょう。
肥料は?
ワンシーズンだけ楽しむのであれば、肥料はそこまで気にしなくていいと思います。8~9月など早い時期に購入したものは、緩効性の肥料を足しておくと、より安心して長く花が楽しめます。
日々のお手入れ
日々のお手入れは、乾き具合のチェック&水やりと、花がら摘み。どの花鉢にもいえることですが、痛んできた花は速やかに取り除きましょう。
花の付け根の、緑色のガクの部分から取り除くこと。花の部分だけ取ってもタネができてしまうので、花がら摘みの意味がありません。
傷んだ花を摘み取れば、次々とつぼみが咲いてくれるはずです。
ルクリア、お花が終わったらどうする?
毎年咲かせるのは、やや難しめ
開花期も比較的長くシーズン中は保ちがよく育てやすいルクリア(ニオイザクラ)ですが、原産地も日本での主要な生産地も夏は冷涼な気候です。日本の高温多湿な夏を乗り越えるのは難しめ。
実店舗で購入する場合は、フローリストさんと相談して、しっかりした株の鉢を選んで開花期を長く楽しむのがおすすめです。
早い時期に購入した株は、2番花が楽しめることも
9月など早い時期に購入した株の場合は、ついている花が終わったら、切り戻しをしてみましょう。
花房の下に芽がありますので、その上の部分だけカットします。終わった花を放置せず、早めにカットすることにより二番花の開花を促します。
うまくいけば、11~12月にふたたび花を楽しむことができますよ。
頑張って毎年楽しむぞ!という場合
手間をかけてでも毎年楽しむ気合のある方へ、ポイントを少しお伝えしておきます。
・庭植えはたぶん無理。鉢で管理すること。
・30℃超えるような夏の時期は、涼しい半日陰へ避難
・10℃切るような寒い時期は室内の明るい場所へ避難
・それ以外の時期は屋外で日光たっぷり
・根が弱いので、植え替えは慎重に。水はけのよい土が好き
・6月頃にばっさり切り戻し。新しい枝を出させると、花が咲きやすい
なかなか繊細で難しい植物ですが、翌年花芽がついたら嬉しさもひとしおです。やってやるぞ!という方はぜひチャレンジしてください。
ルクリア(アッサムニオイザクラ)まとめ
ルクリアのまとめです。
・ルクリア(ニオイザクラ)は晩秋〜年明けまで長く楽しめる
・敬老の日のギフトにぴったり
・見た目もかわいらしく、香りもとてもよい
・ワンシーズンだと思ってじっくり楽しむのがおすすめ
冬の時期にまるで桜のような可憐さと、やさしい香りを楽しめる「ルクリア(アッサムニオイザクラ)。ギフトにも人気の花鉢です。
少し気難しいところはありますが、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。