冬から春先にかけて、お花屋さんの軒先でよく見かける『サイネリア』。
カラフルなお花が密集してこんもり咲いて、寒い冬の目と心を暖めてくれます。
サイネリアというお花の名前は知らなくても、画像を見たらピンとくる方も多いのではないでしょうか。そう、季節柄、小中学校の卒業式・入学式に、壇上の花として使われることの多い花です(見覚えある人もいるかも…!)
お花の少ない冬の時期に、華やかさを添えてくれる貴重な花鉢のひとつ。お部屋の中に一鉢置くだけで、ぐっと明るい雰囲気になって気持ちもあがります。
今回はサイネリアについて、なるべく長くお花を楽しめるような管理方法、そして、翌年も楽しめるかもしれない育て方・増やし方をご紹介します。
サイネリア(シネラリア)とは?
サイネリア(シネラリア)の基本情報です。
分類:キク科 / ペリカルリス属
原産地:北アフリカ(スペイン領カナリア諸島)
和名 : フキザクラ (蕗桜)
英名:Cineraria、Florist’s Cineraria
サイネリアは18世紀にイギリスで改良され、日本には明治初期に入ってきました。
和名「フキザクラ(蕗桜)」は東京帝国大学理学部植物学教室教授・松村任三博士により1896年に命名されたそう。葉が蕗に似ており、花が桜のように覆いつくして咲くからとのことです。こんもりしているので頷けますね。
開花鉢として12月〜4月頃にお花屋さんに出回ります。
花色は白、ピンク、ブルー、パープルなどバリエーション豊富。また、咲き方も一重咲き、蛇の目先、グラデーション咲きなど多岐に渡ります。
古い呼び名の「シネラリア」から「死」を連想する人が多いので、贈りものにするときは注意が必要です。
サイネリアといえば花鉢ですが、最近は茎が長く改良され、切花でも出回るようになってきました。3月の送別会シーズンに、ちょっと添えられる小花として重宝されています。
日持ちもなかなか良いのでおすすめですよ。
サイネリア(シネラリア)の楽しみ方・置き場所・管理方法
置き場所は?
買ってきたサイネリアは、室内で日当たりの良い場所に置きましょう。
日当たりが悪いと、準備しているつぼみも咲いてきません。急に寒さに当てるとしおれてしまうこともあるため、気をつけましょう。
お手入れ方法・長くお花を楽しむためには?
お花が傷んできたら、こまめに花がらを摘みましょう。終わった花をガクごとカットしていきます。そうすることによって、下の蕾がどんどん開花してきます。
しおれた花やや咲き終わった花をそのままにしておくと、新しい花がつきにくくなります。
花が少なくなってきたら、切り戻しをしてみましょう。切り戻しをしなくてもそのまま花は咲き続けますが、切り戻しをすると2番花が咲いてきてより長くお花を楽しめます。
カットした切り口から新しい茎が伸び、また花を咲かせます。カットしたお花は、切り花として楽しむのもよいですね。
水やりは?
土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水を与えましょう。
サイネリアは水は好きですが、水が多すぎなのは嫌いです。土の渇き具合をよく観察してください。お花に水がかかってしまうと痛むので、花と葉をかきわけて株元にかけましょう。
お花と葉が密集して鉢を覆うため、株元に湿気がこもりやすく、蒸れないように注意が必要です。
肥料は必要?
お花を長く楽しむためには、10日に1度を目安に薄めた液体肥料を与えます。
とはいえ、ワンシーズンの花鉢として楽しむ場合には家庭で肥料をやらなくてもいいと思います。余裕があれば薄めた液体肥料をたまにあげる、と覚えておけばよいでしょう。
ハイポネックスなど、他の花鉢や観葉植物にも使える液体肥料を1本持っておくといいですね。
サイネリア(シネラリア)の鉢植えがしおれてしまった!原因は?
お店に並んでいるサイネリアは、生産者さんの暖かいハウスで促成栽培されてきたもの。急に寒い場所に置くと、しおれて枯れてしまうことがあります。
冬の間は室温が5℃を下回らないようにして、晴れた日の日中に屋外に出して日を当てたりするとお花に優しいですね。
買ってきたばかりの開花株を戸外に出しっぱなしにするのはおすすめできません。様子を見つつ置き場所を変える工夫が必要です。
サイネリアの花鉢は、急に寒い場所に置かないこと!
サイネリア(シネラリア)、お花が終わったらどうする?
基本は一年草扱い
サイネリアは本来多年草ですが、高温多湿な日本では、夏越しが難しく一年草として扱われています。
管理がうまくいけば翌シーズンの開花も期待できるといいますが、正直難しいのではないかと思います。
よい鉢を買い、冬~春の間なるべく長く楽しむのがよいでしょう。
頑張って来年も咲かせたい場合
それでも頑張って来年も咲かせたい!という方。花が咲き終わった4月〜5月に挿し芽をして増やしてみてはどうでしょうか。
サイネリアは夏越しがたいへん難しいので、挿し芽で生命を繋いでみる作戦です。新芽をカットして挿し芽に使い、定期的に肥料をやりながら、成長に応じて大きな鉢に植え替えましょう。
もし元の鉢の夏越しがうまくいった場合は、一回り二回り大きな鉢に植え替えるとよりよく育ちます。
ダメ元でやってみて、うまくいったらラッキーかな、くらいでトライするのがおすすめです。
似ているけどちょっと違う?木立性サイネリアの仲間
今まで解説してきたのは、花が密集してボールのように咲くサイネリア。一般的によく出回っているタイプです。
じつはこのタイプのほかに同時期に出回るサイネリアに、【木立性サイネリア/木立セネシオ】という種類があります。品種では、「桂華」や「セネッティ」などのシリーズが有名ですね。
こちらは背が高くすらっとした感じで、ぎゅっと詰まって咲くサイネリアとは雰囲気が違います。
一般的なサイネリアより寒さに強く、丈夫なことが多いです(とはいえ0℃近い戸外に置いたらダメだと思いますが)。
ひととおり花が終わったら切り戻すと、5~6月まで2番花を楽しめます。夏越しは難しいようですが、冬~初夏まで花を楽しめる、息の長い花鉢として注目です。
花鉢の【サイネリア(シネラリア)】まとめ
サイネリアのまとめです。
・12〜4月まで出回る、冬から春の花鉢。
・開花期が長い。
・カラフルな色、多様な咲き方と品種がバラエティに富む。
・本来は多年草だが、夏越しが難しいので日本では一年草扱い。
・木立性の品種(「桂花」など)は比較的丈夫で長く花が楽しめる。
・昔の名前「シネラリア」に不吉な印象があるので、贈りものにするときは注意。
冬~春にカラフルで重宝するサイネリア。卒業式や入学式で使い捨てられてしまうことも多いけれど、いまは色々な品種も出ており、意外と奥が深い花鉢です。
店頭で見つけたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。