5月~初夏に出回る、花火のようなオレンジの花が可愛い『ベニバナ』。
染色の紅色や口紅の原料の紅をとる作物として、人間とはかなり古くから関わりがある植物です。
今回はそんなベニバナの切花をご紹介します。
ベニバナってこんなお花!
ベニバナの基本情報です。
ベニバナの基本情報
学名:Carthamus tinctorius
分類:キク科 /ベニバナ 属
和名:紅花・末摘花 英名:Safflower
原産地:西アジア・地中海沿岸
切花としては、5月~7月頃に多く出回ります。1本200~300円くらい。
最近、切花用の小輪形の品種(“夏祭”など。マイクロ紅花と言ったりするようです)も見かけるようになりました。ドライにしても楽しめます。
ベニバナの切花の飾り方・日保ちについて。
ベニバナの切花、日持ちはする?
切花自体は日持ちがする方ですが、花の色が徐々に変わっていきます。
最初は明るいオレンジ色、咲き進むにつれて紅色が濃くなり、しおれていきます。
1本で何輪も花が付いているので、色が悪くなった花は摘み取りましょう。
ベニバナの飾り方・飾るときの注意など。
ベニバナの茎は硬くて丈夫。腐ったりしにくいので、夏の暑い時期に活けるのも安心。
茎はナナメにカットして活けましょう。水あげは良いので、しおれてしまう心配はあまりないです。
ベニバナの花言葉は?
花言葉は、『愛する力』『熱中』『包容力』『寛大』 など。
ベニバナの豆知識いろいろ。
日本人とベニバナの歴史。
ベニバナの原産地は西アジア。古くから染料として利用されていました。
日本には、シルクロードを通って中国経由で渡来しました。なんと3世紀頃のことだとか。万葉集にも登場するほど、古くから親しまれた花なのです。
安土桃山時代から江戸時代にかけて、藍茜・紫根とともに代表的な染料植物として京染めなどに使われてきました。
江戸時代には、山形が大きな産地として有名になります。ベニバナが育てやすい気候だったこと、最上川を使う運輸ルートで京都や関西への輸送ができたことが、山形のベニバナ産業を発展させたと言われています。
今でもベニバナといえば山形。切花用というより、染料や食料油(種からとれるのが紅花油です)、機能性食品としての性格が強い作物なのですね。
→参考:山形県の紅花栽培の歴史と現状
源氏物語にも登場する『末摘花』
ベニバナの別名に「末摘花(すえつむはな)」とうものがあります。これは、茎の末の方から花が咲きはじめ、それを順次摘み取るところから付いた名前。
源氏物語にも「末摘花の君」と呼ばれる女性が登場する項があります。
『源氏物語』に登場する女性の一人に対する通称。不美人でありながらも生涯光源氏と関り続けた女性の一人。「末摘花」とは、源氏がこの女性につけたあだ名で、彼女の「鼻が紅い」こととベニバナの「花が紅い」ことをかけたものである。(Wikipediaより)
不美人の鼻の赤さをベニバナに例えるとは…。それでも光源氏は純真な末摘花の姫君に心惹かれ、見捨てることなく妻の一人として最後まで面倒を見たのでした。
切花のベニバナ、まとめ。
ベニバナ、まとめです。
・5月~7月頃に出回る初夏の花。
・染料、紅用として古い歴史がある作物。万葉集にも記載がある。
・源氏物語に出てくる「末摘花」もベニバナのこと。
出回る時期は短く、主役級とはいえない花ですが、歴史に思いをはせつつ眺めるのも素敵。日持ちもするので日常使いに使いやすい花だと思います。
切花用のマイクロ品種も出てきたり、切花としての可愛さも見直されています。季節の花としてぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。