秋の花といえば色々ありますが、お花屋さんで欠かせない秋の花のひとつは間違いなく『ワレモコウ』。
どんな花にもワレモコウをちょいと添えれば、すっかり秋の風情に早変わり。
派手さはないけれど、秋のお花屋さんではよく見かける花材のはず。今回はそんなワレモコウを詳しく見ていきましょう。
ワレモコウってこんなお花!
ワレモコウの基本情報です。
ワレモコウの基本情報
学名:Sanguisorba officinalis
分類:バラ科 / ワレモコウ属
和名:吾亦紅、吾木香 英名:Great Burnet、Garden Burnet
原産地:日本、朝鮮半島、中国、シベリア、ヨーロッパ
ワレモコウは、秋にだけ出回る切り花です。市場に出回るのは、7~10月末頃でしょうか。手に入れやすいのは9~10月だと思います。
枝ぶりによって値段は変わりますが、だいたい200~400円くらい。そんなに高級な花ではありません。花の付き方や雰囲気、ボリューム感としては、カスミソウをイメージすると近い感じ。
いいワレモコウは枝ぶりがよく花が大きめで、葉っぱもしっかり緑色。一見ドライっぽい雰囲気ですが、入荷したての新しいワレモコウはみずみずしいのでわかります。(参考)
ワレモコウの切花の飾り方・日保ちについて。
ワレモコウの切花、日持ちはする?
何をもって「日持ちする」というかによりますが…。ワレモコウはドライにもなるし、比較的見た目も変わらず長持ちします。
フレッシュな状態は、葉っぱや茎も緑色。
ドライになると葉っぱは茶色くなり、茎も枯れ茎っぽくなります。
ドライになるよ!とはいうものの、花がポロポロ散るのがクセモノ。
これが散らかるし、服に入っちゃったりするとチクチクするし(花屋あるあるです)、けっこうやっかいなんですよね。
多少散ってもかまわない場所に飾るぶんには、見た目もさほど変わらないので良いと思います。
↑完全にドライ。でも見た目はあんまり変わりませんね。
ワレモコウの飾り方・飾るときの注意など。
がさっと長めのまま飾ると、野趣あふれる雰囲気が活かせて素敵。小さな花瓶に活けたり、別の花に添えたりするときは、切り分けもできるので便利です。
ちょっと添えるだけで、一気に秋らしくなりますよ。
あと、最後散るときのことを考えて、多少散らかってもいい場所に飾るといいかも。
ワレモコウの花言葉は?
花言葉は、『移りゆく日々』『移ろい』『物思い』『変化』『憧れ』 など。
品種・合わせたいお花・おすすめの使い方。
秋の花でまとめたい!
リンドウ、ケイトウ、リコリスなど、秋の花に合わせるのはテッパン。
時期的には秋彼岸にもベストシーズンなので、お墓参りの花に入れてもグッと秋らしさが出て良いと思います。
枝ものと合わせる
枝ものや実ものと合わせてざっくり飾るのもおすすめ。野趣あふれる雰囲気が似合います。
キイチゴの枝、実つき野ばらの枝、ススキなんかと合わせるのもいいですね。焼き物の器にざくっと活けたりすると、あー、日本の秋!!という感じです。
ワレモコウの豆知識いろいろ。
名前の由来
『ワレモコウ』ってちょっと不思議な名前。なぜこの名前になったのか、いくつか説があります。
ひとつは、「ワレモコウ=吾木香」説。
「木香(モッコウ)」というキク科の植物があり、そこから名前がついたとされています。
木香とワレモコウは別に似ていないのですが、どちらも根を漢方として使います。外国から渡ってきた木香の代用として日本のワレモコウを使ったことから、和木香→吾木香と変化したのではないか、という説です。
もうひとつの説は、「ワレモコウ=吾亦紅」説。
ワレモコウは一見お花っぽくない姿をしていますが、花の紅さで自分も花だと主張している=「吾【われ】も亦【また】紅【あか】なり」=「わたしも赤い花なんですよ!」
という説です。
ほかにも諸説あるようです。古くから日本に自生している植物なので、説もいろいろあるんでしょうね。
吾亦紅説がやや有名でしょうか。「われも紅!」と言ってるかと思うと可愛くて、私もこの説が気に入っています(そんなに赤くないけどね…!)
根っこは漢方の「地楡(ちゆ)」
ワレモコウは根を漢方薬としても利用します。漢方薬名は「地楡(ちゆ)」。
属名の「Sanguisorba」は血(sanguis)を吸う(sorbeo)という意味。この植物が持つ止血作用に由来しているそうです。
切花のワレモコウ、まとめ。
ワレモコウ、まとめです。
・ドライとフレッシュの違いは、葉っぱを見て見分けよう。
・ドライにしてもいいけど、ちょっとパラパラ散るのが難点。
・秋の花や枝ものと相性抜群。「ザ・日本の秋」を演出しよう。
地味目な存在のワレモコウですが、秋にしか楽しめない花。ぜひシーズン中に一度くらいは飾ってほしい!
散り際が苦手な人は、まずは散らかってもいい場所に少量からチャレンジしてみましょう。
参考サイト
大田花き 産地うんちく探検隊「ワイルドプランツ吉村(長崎県)」
ちょっと古い記事ですが、ワレモコウの圃場の様子が取材されています。
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