「青木ヶ原樹海」と聞いて、何を思い浮かべますか?
…自殺の名所。うん、そうだよね。
一歩樹海に入ると抜け出せない、方位磁針が使えないなどの迷信により、怖いイメージの深い森。自殺志願者が最後に向かう森…などなど、あまり良いイメージは持たれていないのでは。
そんな樹海で「苔の観察会」がたびたび行われているらしい。樹海でコケ?
今回、気になっていた樹海でのコケ観察会『青木ヶ原樹海コケさんぽ』に初めて参加してきました!
午前中は樹海でコケ観察、苔ランチ(なにそれ?)をはさんで、午後は苔テラリウム制作ワークショップという盛りだくさんな一日企画です。
それではさっそく、人生初・樹海へ出発!
(開催日:2018年7月26日)
樹海コケさんぽに出発!
朝10時。西湖コウモリ穴の駐車場に集合です。続々と集まる参加者たち。子供連れの方や、遠方からの参加の方も。みんなコケが好きなのね。
ネイチャーガイドの池田さんから、樹海についての説明。苔専門家・道草の石河さんから、ルーペの使い方などのレクチャーを受けます。
今回は猛暑と好天続きで、苔もカサカサ乾燥気味。石河さんより全員に水の入ったスプレーを手渡され、霧吹きをしながら観察をすることに。
スタート前ですが、ルーペの使い方をマスターする子どもたち。カサカサの苔に霧吹きすると、ふわーっと開いていくのがわかります。みんな興味津々。
今回のルートはこのあたり。往復2キロほどの距離をのんびりコケさんぽです。
樹海の成り立ちとコケについて。
そもそも、なぜ樹海とコケなのか。池田さんのレクチャーから少しまとめてみます。
溶岩の上だから、木の根が深く張れない。盛り上がった根っこ。
まず、樹海はとても新しい森だということ。
1000年ほど前、富士山の小噴火で溶岩が流れ出し、かつてあった森が溶岩で覆われてしまいました。ゴツゴツした溶岩石の上に、コケが生え、小さな植物が生え、針葉樹が育ち、少しずつ落ち葉で土壌ができ、今の樹海の森になりました。
樹海の森は、1000年前に溶岩でリセットされ、ゼロスタートした森ってこと。しかも溶岩石で覆われてしまったので、普通の植物が生えられないところからのスタートです。
コケ植物は、土壌がなくても、岩や木の幹などに着生して育つことができます。だから樹海にはいろんなコケが豊富に生えているのですね。
竜宮洞穴から見た樹海。
森林の遷移は、コケ→小さな植物→陽樹→陰樹 と進んでいきます。樹海の森はまだこの途中、若い森ということになります。
樹海にはスギ、ヒノキ、ツガなどの針葉樹が多く生えていました。
さらに遷移がすすみ、広葉樹の森になると、足元のコケはだんだんいなくなってしまうのだとか。コケ好きとしてはちょっと切ないですが、自然界の移り変わりとはそういうもの。
樹海について知らないことばかりだったので、最初にレクチャーを聞けたのがとてもよかったです。
コケを観る、観る、観る。
さて、コケさんぽに戻りましょう。
思い思いに立ち止まって観察したり写真を撮ったりしていると全然進まないので(笑)、ここぞ!という苔スポットまではサクサク歩きます。
とはいえ、気になるものがあると立ち止まっちゃうよね。
きのことか。
地衣類も。
観察できたのは、森林に生えるフサフサの苔たち。東京にいる苔とは、種類も風情も違いますね。
ホソバオキナゴケ。
ヒムロゴケ。
ヒノキゴケ?
タマゴケ。
シッポゴケ?
コセイタカスギゴケ?だっけ?
スギゴケのなかまの、胞子体これから出るぞ!ってところ。
苔じゃない、コケシノブ。
コケスポットでは石河さんの解説を聞きながら、観察したり撮影したり。
往復2キロほどの道程ですが、たっぷり2時間以上かけて散策しました。山道になれてない私でも無理なくついていける苔メインのペースが嬉しい。
コケ隊長・石河さんは、誰よりも大きな霧吹きでガンガン水をかけてくれます。
ちなみに、かなり近づいて観察するので、みんなこんなスタイルになりますよ(知らずに撮られてた私)
うん、あやしい。
お楽しみの苔ランチ!(すごい)
観察会が終わると、精進湖のホテルまで移動して、お楽しみのランチ!
この日のオーダーは、青木ヶ原樹海とコケをテーマにしたランチとのこと。
溶岩…!!
ではなく、炭粉を利用した唐揚げです。食べると普通に美味しい唐揚げ!すごい。脳がちょっぴり混乱します。
食べられるコケ「ジャゴケ」は酢の物に。シャキシャキした歯ごたえ。ブルーベリーと合わせて、なんだかオシャレです。
ジャゴケだ…
名産のこんにゃくや、桃モッツァレラなどなど。山梨県産の食材を使った料理はどれも美しく、美味しかったです!
私は参加しませんでしたが、ランチ後は苔テラリウムの制作ワークショップもあり、参加者のみなさんはおみやげの苔テラリウムを持って帰路につきました。(テラリウムのコケは樹海で採取したものではなく、ちゃんと販売されているものです)
なんて苔づくしの一日なのだろうか。満喫!!
樹海コケさんぽの感想。
初めての樹海、知らないことがいっぱいでとても勉強になりました。
樹海はちょっと不思議な雰囲気で、たしかにちょっと不気味で。でもそれは、自殺の名所だからではなく、新しい森だからなのかもしれません。
虫が少なくて妙に静かなのも、土壌が薄い森だからと考えれば納得。そんな森で、コケはのびのび生きているようです。まだまだ、動物よりもコケが主役な森。
われわれ動物は新参者だなあ、などと考えながらタイムスリップしたような気持ちで樹海さんぽを終えました。
花や園芸の仕事をしていると、植物は「商材」なので、たまにはこうして自生地を見に行っていろいろ感じるのは良いことだなあと思いました。
今後も観察会などの企画があるようなので、気になる方は要チェックです!
樹海に生えているようなフサフサの苔を家でも育てたい!と思ったら、ガラス瓶の中で育てるテラリウムが最適。今回ガイドしてくれた道草・石河さんの参考書が詳しいです。
野外でのコケ観察には、こちらのコケ図鑑がおすすめだそう。苔好きお墨付き。
*樹海は国立公園なので、コケの採取は禁止されています。見て楽しむだけにしましょう。
*テラリウムなどに使う「育てるコケ」は、山などからむやみに採ってくるのではなく、ちゃんと販売されたものを使いましょうね。