花の仕事をしているくせに、いけばなには縁遠い私。
せっかくなので発祥の地を拝もうではないか!!と思い、京都で見学してきた記録です。
いけばなの世界のチカラ(いろんな意味で)を感じたよ…
池坊いけばな発祥の地・六角堂
京都・烏丸御池のそばに、頂法寺・六角堂というお堂があります。
聖徳太子建立とされ、歴史も古いお寺です。
ここの本堂に供花をしていたのが池坊の祖先といわれており、現在のいけばなの元とされています。
(参考:詳細は池坊のサイトに詳しく載っています。なかなか読み応えあり)
華道には現在さまざまな流派がありますが、池坊は「流派」とは言わないのだそうです。池坊いけばなが「いけばな」であるから、ということらしい。それだけ、本家本元!ということなのでしょうね
烏丸御池周辺は、東京で言うと丸の内みたいな雰囲気。
銀行の本店やビルが立ち並ぶ都会のなかに埋もれるように六角堂があり、その周りを取り囲むように『華道家元池坊総務所』である池坊のビルがどーんと建っています。
3階に資料室があり、これが今回のお目当て。古い文献(花伝書!)や花器が展示されています。
ここは普段予約しないと入れないのですが、たまたま全館で春の花展が開催されており、
入場料500円を払うと資料室も見られるとのことでした。
春の花展を見学。
せっかくなので花展もさらっと拝見。
次期家元と家元の作品。置いてある空間からしてすごい。
畳が一段高いです。垂れ幕みたいなのもかかっています。
あれですね、百人一首でいったら「姫」の座ってる感じだね。
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建物の中庭に出るとすぐ六角堂。お堂の周りにも大きな作品がいくつか配されていました。
お堂側から建物を見ると、池の上に桜の大作!
もはやどうやって活けているのかわかりません。すごい迫力。
(この池には白鳥が優雅に泳いでおり、六角堂の古いお堂とのギャップにちょっとくらくらしました…すげえ)
3階資料室には、貴重な資料がいっぱい。
花展は奥様方で大賑わいでしたが、3階の資料室は人もまばら。
しかし展示品はなかなか見応えがありましたよ。
(写真は禁止だったので、後から購入した冊子「歴代家元譜-華・歌・仏」からの転載です)
花伝書や、江戸時代の立花記録などの原本が展示されています。
1000年前の人もこうして上手に活けられるように練習したりしていたのね。歴史を感じるひととき。
花器などの実物展示もあり、興味深かった特集は器の「耳」特集。
立花に使うこんなかたちの器には、横に持ち手がついています。これが「耳」。
この「耳」は、月、龍、蝶、兎など様々なモチーフで作られ、それだけでも美しい工芸品です。その部分だけ取り外して鑑賞できるものもあるのだとか。
恥ずかしながら実物をまじまじ見たのは初めてだったのですが、非常に繊細できれいでした。
売店もすごい!
ビルの8階には併設ショップが。
書籍やさまざまなお道具、花器(そりゃあもう高いものまで)などが購入できます。教科書・家元の作品集など書籍も豊富。英訳された教科書もたくさん。
驚いたのは、外国の人がとても多かったこと!
たっかーい花器を検討しているヨーロッパ風のご夫妻や、教科書を物色しているアジア系の人などなど。
イベント中だからかもしれませんが、フロアの半分くらい外国の人だったような気がしました。
地下にはまるで市場のような花屋さんがあります!
そしてそして。地下には生花を扱う池坊御用達のお花屋さん「花市」さんが。
これがなんともすごくてびっくり!
花屋と言うより、これは市場だ。
花だけではなく、観葉植物の葉っぱや様々な枝もの、流木、鉢ものなどなど。普通のお花屋さんや、一般の市場でも見かけない花材がたくさん。
地下の駐車場みたいなスペースに雑然といろいろな花材がバケツに入って並んでいて、生徒さんたちが購入できるようになっています。
枯れた葉っぱや曲がった枝ぶり、摘んできたような自然な枝ぶりのバラなども揃っており、枝ものを床に広げて好みの枝ぶりを探す人も。
東京でもいけばな御用達のお花屋さんはありますが、このビルひとつでなんでも揃うんだなーと感心しました。
そしてもう一度六角堂へ。
お堂の正面側にまわって、お参り。
このお堂に供えた花が、池坊のはじまり。さぞや本堂花もすごいのかな?と期待して本堂の中をのぞいてみたけれど、白い菊が5本ずつ左右に供えられているだけでした。(写真なし)
お堂のまわりには小さなお地蔵さんがたくさんあり、ここにはきれいにお供え花。
外へ出ると六角堂の目の前に刃物屋さん。
よく切れるハサミもすぐ買えますね・・・!
歴史と、財力と、なんかいろいろなチカラに圧倒された見学でした。
やっぱ500年の歴史にはかないませんね。
参考図書です。歴史に興味がある方はどうぞ。