前回のお話はこちら。
【資格】フラワー装飾技能士1級を受けてみたらものすごく大変だった話 【part.1】
フラワー装飾技能士1級の難関は、なんといっても実技です。
実技は
1.立食用卓上装飾花(制限時間40分)
2.卓上装飾花(制限時間35分)
3.ブーケ(制限時間60分)
の3つの試験があります。
まあそれなりに経験もあるし、ちょっと練習すればできるだろーと思っていたらめっちゃ大変です。ご覚悟を。
NFD版 よくわかるフラワー装飾技能検定試験―実例とポイント
【実技1】立食用卓上装飾花(制限時間40分)
課題は「ホガース」「クレセント」の2パターン。
『ホガース(S字型)』『クレセント(三日月型)』どちらかが出題されます。
写真では片面ですが、360度展開のアレンジメントです。(裏から見ても同じようにつくるということね)
花材はカーネーション約35本とソケイの枝10本のみ。
机の上からの高さ(器も入れて)は約95センチ。
横幅は約70センチ。(実際は数字に幅があります。よく確認して下さいね。)
三日月やS字の曲線を表現するために、カーネーションにはワイヤーでセキュアリングをするのが望ましいとされています。
18番ロングワイヤーを何本も使います。ワイヤーは見えると減点。フローラテープでしっかり巻きましょう。
※お花屋さんでない方へ
ふだんつくるアレンジやスタンドでこういうことはしません。念のため。
課題1は大きい、重い、練習にお金がかかる。
課題1の大変なところ。それは大きさです。
スクールの広い作業台ではあまり感じないかもしれないですが、自宅のリビングとかで練習しようとするとめっちゃ場所をとります。立食卓上花って、どんな立食パーティだよ。練習場所の確保が大変です。
そして18番ワイヤーが長い。重い。そしてワイヤーでしっかりセキュアリングしたカーネーションの処分が大変。
一度使ったワイヤーは2回は使えないし、カーネーションからワイヤーをはがして燃えないゴミに分別して…とかやっていると、なんてエコじゃないことをしているんだ私は…という気分になります。
そして課題1の練習に使うカーネーションはある程度の長さが必要…なので、必然的に花材費も高くなります。特にトップに挿すカーネーションは80センチ以上あった方がいい。
ケチると練習にならないので泣く泣く良い等級の花材を買うことに。
また、18番ロングワイヤーも高い。それから、これは全課題に共通して使うからですが、フローラルテープの消費量もハンパない。卸価格で仕入れできるお店で箱買いしましょう。
課題自体は、普段スタンド花とか大きいアレンジを作っている人なら、練習すればまあできると思います。制限時間も、不可能ではないレベル。ワイヤリングやテーピングでもたもたしないようにしましょう。
合格のポイントは規定サイズをきっちり守ること。特に左上の一番トップのカーネーションをぴたっと決められた位置に挿すのが重要です。
大きさだけでなく角度まで指定されていて、メジャーをあてて審査されるので、最後に時間をあまらせてきちんと修正しましょう。花材が多く、大きいので、崩れてこないようにしっかり挿すことが大事。
【実技2】卓上装飾花(制限時間35分)
課題は『ホガース』と『クレセント』2パターン。
写真は上から撮った様子です。テーブルの真ん中に置くような、高さはないけど横に長いアレンジですね。
制限時間は35分。
課題1で使ったカーネーションとソケイに加えて、小菊10本・タマシダ20枚が追加されます。
課題1を崩してつくるので、ワイヤーをかける手間は少し省略されますね。花器も1より低い器になります。
高さ約20センチ・幅は約100センチくらいの大きさです。
課題2も大きい…でも、内容は課題1の応用のみ。
横長のアレンジ…これまたデカイ。長い。
ただ、課題1をくずして作るので、ワイヤーなどはすでにかかった状態です。私は、3つの中で一番余裕をもってできました。
低い器に横長に挿すので、花が床につかないように。挿すときの角度や、カーネーションの節をうまく利用して、花が落ちてこないように挿します。
こちらもサイズ、角度がきっちり決まっています。課題1同様、最後にしっかり修正しましょう。
【実技3】ワイヤリングブーケ(制限時間60分)
最後の難関、ワイヤリングブーケです。
課題は「クレセント」「ホガース」「トライアンギュラー」の3パターン。
この3つのうち、どれかひとつが出題されます。
お花をやっていない方は、写真を見てもこれがどうやって作られているかさっぱりわからないでしょうね…。
花材はカーネーションと小菊とレザーファン(葉っぱ)、そしてリボン。すべてをワイヤリングして組み上げる「ワイヤリングブーケ」です。
ワイヤリングというのは、すべての花材を花首で切ってワイヤーで茎を付け直すということ。
たとえばカーネーションは、
花首から切り → 半分にちぎり → またその半分にちぎり、
ワイヤーをかけ、
フローラテープを巻きます。
これで1パーツが完成。通常の1輪から、2もしくは4つのパーツをつくります。
課題のブーケではこのカーネーションパーツを30輪以上。
小菊やレザーファンもすべてワイヤリングします。小菊20輪、レザーファン約30~40パーツ。
リボンワークも課題。
20センチくらいのリボンをくるくるまるめて作った「ロケットボウ」。ワイヤーで茎を付けてブーケに組み込みます。これを10本。
すべてのパーツをつくり、規定の形に組み上げて、持ち手をリボンで巻き上げ、バックリボンを作って付けて完成です。
60分以内に。
・・・・・・
発狂!!(・∀・)!!
課題3はとにかく時間との戦い。
課題3の大変さ。それはもう、時間との戦いです。
先ほどご説明した「花材のワイヤリング」だけで、最初は80分くらいかかりました…制限時間60分なのに!!
とにかくワイヤリングパーツの数が多いので、ワイヤリングの練習です。
60分の制限時間内で、45分くらいまでに全パーツを作り終えられると光明が見えてくる感じでしょうか。
どこを時間短縮できるか、まるでオリンピックを目指すアスリートのように細かくタイムを測る。
ロケットボウ10本に何分かかるか、レザーファンのワイヤリングに何分かかるか。
など、こまかく工程をわけてそれぞれのタイムを計りました。どこに時間がかかっているのか。それをどう短縮するか考える…の繰り返し。
毎日練習する、という意味でも、細かい工程にわけるのは有効です。
リボンだけ、カーネーションだけ、組み上げだけ…という感じで、時間がない日でも少しずつ練習できます。幸いなことに、課題1・2ほど練習場所は必要ないので、時間を見つけてちょこっとずつ練習はしやすいかと。
つくったパーツはジップロックに入れて冷蔵庫(野菜室)で保存!次の日組み立て・・・みたいな感じでやっていました。
ジップロック超優秀!カーネーションには深めのタッパータイプがいいですよ。
あとはサイズと角度をしっかり守って組み上げられれば大丈夫。
ブーケは3つの形を覚えないといけないので、混乱しないようにしっかり図を描いて覚えましょう。
フラワー装飾技能士1級・練習が楽しくなる3つのヒント
いやまあ、楽しくはないんですけどね…。心折れずにコツコツ続けられるような工夫の紹介です。
お気に入りCDで制限時間をはかる。
制限時間40分、35分、60分。
最終的にはこの時間内にすべての作業をおさめなければいけません。
そんな練習のときのおすすめは、ちょうどいい長さのCDをかけること。60分で1周するアルバム、40分で1周するアルバムなどを好きなアーティストのCDから探しましょう。
好きなアーティストだと曲順も覚えているし、この曲までにパーツが終わっていれば大丈夫、などのデータもとりやすい。
私はこのへんのCDにお世話になりました。
(ほぼちょうど60分。本番さながらのブーケ練習に)
(だいたい45分。ブーケのパーツ制作はこれにおさまればOK)
うまくいったときのデータをとる。
まさに試験攻略のための方法ですが…完成形をばらして、長さなどのデータを取りました。
1本目のカーネーションを何センチでカットしているか、ロケットボウのリボンを何センチでカットしているか、課題1のどのカーネーションを課題2のどの部分に使ったか、などなど。
受験勉強の攻略法、みたいな感じで、こういう工夫はわりと好きです。1本目は〇センチで切る!とわかっていれば迷いもなくなるし、確実に時間短縮にはなります。(実技試験で実力をはかるという本来の意味としてはあんまり意味ない気もするけど)
私は、スタートの合図がかかったらワイヤーを何本出すか、なども決めていましたよ。
一緒にがんばる仲間を見つける。
ありきたりですが、同じ合格の目標を持った人が近くにいるとモチベーションも保ちやすいです。
フラワー装飾技能士1級は受験者数も少ないし、なかなか同じタイミングで友達と一緒に受けるというのが難しい。でも、一人でもくもくやっているとかなりの確率でココロ折れます。ほんとにしんどいんだよ…
同じ講座を受けている人と積極的に仲良くなりましょう。励まし合ったり愚痴を言い合ったりするだけでも、だいぶ心が軽くなります。今ならSNSなどで同じ境遇の人を探してみるのもいいかも。
実技の大変さ、伝わったでしょうか。
受けると決めて始めてしまったら、あとはもう、とにかく1発で合格すること!
こんなこともう一年やるのか…と思うと、時間もお金ももったいなくて涙が出ます。追い込まれた気持ちで頑張りましょう。
筆記試験については
【資格】フラワー装飾技能士1級を受けてみたらものすごく大変だった話 【part.3】
に続きます!