花の仕事

マグノリアって木蓮(モクレン)のこと?モクレンの仲間の違いをおさらいするよ

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桜の花に先駆けて春先によく見かける花木といえば、モクレンの類。


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東京でも庭木や公園でよく見かけますし、花に詳しくない人でも馴染みのある花なのではないでしょうか。私も、街路樹の白いハクモクレンがぽんぽん咲きだすと、ああもうすぐ春だな~という気分になります。

 

園芸界隈の人ならば、モクレンの仲間を「マグノリア」と言ったりしますよね。

 

でもよく考えたら、マグノリアってなに?そもそもモクレンって白いんだっけ?紫なんだっけ?

 

うまく説明できなかったので、改めてまとめてみました!

 

モクレンの仲間について。

モクレンの仲間=モクレン科(Magnoliaceae)モクレン属(Magnolia) 。「マグノリア」の呼び名は属名から来ています。

 

「趣味の園芸」によれば、

モクレン属の野生種は、日本を含むアジアとアメリカに約90種が分布します。これらのうち、日本原産のコブシやタムシバ、シデコブシ、オオヤマレンゲ、中国産のモクレンやハクモクレン、ヒマラヤ地域のキャンベリー、北米のキモクレンなどを交配させて生まれた園芸品種を「マグノリア」と総称しています。

 

とのこと。(参照)

 

ここで園芸品種のもとになった原種、として挙げられているのは以下のとおり。

 

■日本
コブシ(M.kobus)、タムシバ(M.salicifolia)、シデコブシ(M.stellata)、オオヤマレンゲ(M.sieboldii)

■中国
モクレン(M.quinquepeta)、ハクモクレン(M.heptapeta)

■ヒマラヤ
キャンベリー(M.campbellii)

■北アメリカ
キモクレン(M.acuminata

*「M.~」は属名のMagnolia.の略です

 

そもそもモクレン科は非常に大きな科で、属についても色々と分類が難しいようです。進化の観点からも古い仲間であり、分布も広く不連続なんですね。(Wikipediaより)

 

  木蓮といえばコレでしょう(わかる人だけわかればいい)

 


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日本でよく見かける「モクレンの仲間」3種。

まずは一般の我々日本人が、身近によく見かけるモクレンの仲間をおさらいしておきましょう。

ハクモクレン(M.heptapeta

早春に白い花を咲かせるのは『ハクモクレン (M.heptapeta) 』

3月~4月頃に花を咲かせる、トップバッターです。葉っぱが出るより先に花が咲き、大きいものは樹高20mほどになる高木です。中国原産。

 

モクレン(M.liliflora または M.quinquepeta

一方、紫のこちらは『シモクレン (M.lilifloraまたはM.quinquepeta)

一般に『モクレン』と言ったらコレのこと。咲き始めるのはハクモクレンより少し遅く、3月下旬~4月頃。写真のように開花中から葉っぱが出始めるのが、ハクモクレンと違うところです。

樹高は4~5mの中高木です。こちらも中国原産。

コブシ (M.kobus)

3つめは、『コブシ (M.kobus)です。

こちらは日本原産のモクレンの仲間。花はハクモクレンやシモクレンより小さめで、開花期は3月中旬~4月頃。シモクレンと同様、開花中に葉っぱが出てきます。樹高は10~20m。

園芸はもちろん、切花でも枝物として使う、日本人には馴染みのある春の花木ですね。

 

ところでコブシは、漢字で書くと「辛夷」になります。ところが中国で「辛夷」と言ったら「シモクレン」のこと。

もともと「辛夷」(シンイ、と読みます)は、つぼみなどを薬用とする漢方薬として日本に導入されました。代用品として日本に自生していた「コブシ」を「辛夷」として使ったことから、この字が当てられたのだと思われます。

現在も辛夷は漢方薬として使われており、輸入ものは M.biondii を起源とするものが多いとか。本当につぼみの姿そのままです。(参考サイト

 

辛夷(シンイ)は鼻炎などに効くそうです。

 

「マグノリア」の意味は本当にそれだけ?

さて、園芸界隈の人にとって「マグノリア」とは、「ハクモクレンやシモクレンを含む、園芸で楽しむモクレン科の仲間」というような意味ですが、本当にそれだけでしょうか?

 

「マグノリア」もしくは「magnolia」でGoogle画像検索してみると、

 

ん…?なんかちょっと様子が違う感じですね?

「マグノリア」といえば、で出てくるコレ。モクレンとはちょっと雰囲気が違う。

 

英語でマグノリアといえば、タイサンボク (M.grandiflora)

この正体は、『タイサンボク (M.grandiflora)です。

学名のとおり、こちらもMagnolia=モクレン属の植物。北米原産のモクレンの仲間です。

アジアのモクレンと違って常緑。花期は遅く、6~7月に花を咲かせます。日本には明治時代に輸入され、大きな公園などに行けば見られます。新宿御苑や昭和記念公園にもありますよ。

 

このタイサンボク、アメリカのミシシッピ州やルイジアナ州では、州の花とされています。「マグノリア」と言えば、アメリカの人々にとってはタイサンボクのこと。

だから「マグノリア」って検索すると、タイサンボクの花が多く出てくるのです。

 

モチーフとなっている映画作品でも、これは明らかにタイサンボクの花ですよね。

 

 

「マグノリア=モクレン科の園芸植物」と思っているのは日本の園芸界隈だけで、世界では「マグノリア=タイサンボク」が主流なのかもしれません。いや、わかんないけど。

 

タイサンボクに似てる!ホオノキ (M.obovata)

タイサンボクを紹介したら、ホオノキを紹介しないわけにはいきません。

梨木香歩さんの小説「西の魔女が死んだ」では、主人公のマイが「泰山木によく似ている」とおばあちゃんに語るエピソードがあります。

 

永遠の名作。植物好きな人はぜひ読むべしです。

 

こちらが『ホオノキ (M.obovata)。タイサンボクとちょっと雰囲気が似ていますね。

日本原産で、花期は5月頃。タイサンボクと違って、秋には落葉します。

ホオノキといえばこの大きな葉っぱが特徴で、飛騨高山の郷土料理である「朴葉みそ焼き」で有名です。朴葉みそ焼きのあの葉っぱも、モクレンの仲間だったのか…!

 

https://macaro-ni.jp/33180

 

まとめ。

というわけで、モクレンの仲間についてまとめです。

・日本でよく見かけるモクレンといえば「ハクモクレン」「シモクレン」「コブシ」。

・モクレン=「シモクレン」のこと。つまりモクレンの花は紫色。

・「マグノリア」はモクレン属の学名。

・モクレン属の園芸植物を総称して「マグノリア」と言ったりもする。

・アメリカ人にとって「マグノリア」はモクレン科モクレン属の中の「タイサンボク」をピンポイントで指すのが普通。

 

モクレンから始まって、漢方薬や朴葉みそ焼きまで脱線しましたが、モクレンの仲間は世界中で親しまれているということがわかりました。

種類が多く原産国が幅広いので紛らわしいけど、今年はちゃんと違いが説明できますね!

 

東京では3月中旬くらいから、街路樹や公園でハクモクレンやモクレンが咲くのが見られると思います。楽しみに待ちましょう!

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