読書メモ

【フローリスト】2022年2月号 読書メモ

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お花屋さんの業界誌といえば、誠文堂新光社の『フローリスト』。


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昨年6月号から隔月刊となりましたが、新たな連載も始まり、内容は充実したものになっています。

今回は花束の特集。別れや始まりが多いこの時期にぴったりの特集記事ですね。さっそく見ていきましょう。

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特集:大切な人に贈りたい 思いを伝える花束

春はバレンタイン、卒業式や入学式と花束を贈る機会が多くなりますね。花束にさまざまな気持ちを託したい、ということで組まれた特集。

贈る相手を想定した花束

具体的に花束を贈る相手をイメージし、お花屋さんに作ってもらった花束が紹介されています。職場の上司、思いを寄せる人、先輩、恩師、親など相手もいろいろですが、「紳士的でスマートな恩師に」など、どんな相手なのかも具体的に想定されています。

相手によって花材や色合わせも変わり、個性的な花束がいっぱい。愛情、感謝、労い、お祝いなど、花束に気持ちを託して贈るなんて素敵ですね。

新しいお店に花束をオーダー

新しくできたお花屋さんに、そのお店らしい花束を作ってもらった記事。

「ボワドゥギ東京」は、昨年2月に東京・千代田区丸の内にオープンしたお店。大阪にある「ボワドゥギ」の2店舗目です。スタイリッシュな空間に花を際立たせ、ファンを増やしているそう。バレンタインデーや両親に贈るブーケは、花材や色合わせも個性的です。

「コヤ ステイフラワー」は、東京・杉並区のお店。客層は近所の人が中心ということで、店名は「人生を深めていけるような小屋にしたい」というビジョンから。「デートで彼女を喜ばせたい」などの気持ちを込めて制作された花束は、思いがあふれる仕上がりです。

トップフラワーデザイナーが教える”空想花束”の発想と作り方

第一園芸のトップデザイナー新井光史さんによる「もし、すでに現世に存在しない憧れの有名人に花束を贈る機会があったら?」をテーマにした花束制作。

発想のプロセスが、テーマ、コンセプト、花材、デザイン・テクニックと整理され、作り方が写真入りでていねいに紹介されています。

「二十歳の金子みすゞに贈る」花束など、自分だったらどう作るかな…と考えてしまいました。妄想のオーダーで花束をつくるのは練習にもなるのでおすすめです。


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今さら聞けないバラのこと

フローリストにとって一番身近なバラについて解説した記事。

「バラのプロフェッショナルから学ぶ」という前半は、バラのケアや生産、流通、トレンドについて。花持ちなど基本的なことから栽培方法、品種など、知っておきたいことが満載。

後半は「香りにこだわる生産地のバラ」として、増田バラ園、青山ばら園のバラが紹介されています。買ったことのない品種もたくさんで、とても勉強になりました。

世田谷花きのバラ担当・郷古渉さんよる解説なのもリアリティがあって良いです。ほかの担当さんでほかの花材もぜひやってほしい~!

上野雄次 キムホノの器に生ける

陶芸家・キムホノさんの器にプロの華道家・上野雄次さんが花を生けるという企画。
器を生かした花の生け方が印象的です。

東京・青山にあった珈琲店「大坊珈琲」には、いつも花が飾られており、店主の大坊さんはキムホノさんの器を好んで使っていたそうです。今回も大坊さんの珈琲ルームが花いけの場所です。

連載記事

自由な花屋リトルの事始め

「古きに学び、未来のタネをまく」がテーマ。

昨年行われた展覧会「Life is beautiful:衣・食植・住」 について、壱岐ゆかりさんの思いが語られています。展覧会を通して、衣食住の未来を一緒に考えていきたいと思ったという壱岐さんは、かつて日本人の衣食住の中心には植物があったことに気づき、先人の知恵はすでにある、今は衣服も食べ物も植物も循環を大事にする未来への転換期だと思えると言います。

季節の枝物

2月の枝物:ボケ

コンポート型の器を使ったボケのアレンジメント。写真で作り方が順番に説明されています。

3月の枝物:サクラ

横長の器を使ったサクラのアレンジメント。

ボタニカル・メタモルフォーシス

今回は、ミスカンサスのラインを重ねて見せる造形

ミスカンサスで輪を作りながらリース形に並べて線の重なりを見せ、ふんわりと風が通る雰囲気に仕上げた造形です。

ミスカンサスが作り出す造形美に驚きます。使い方ひとつでこんな世界も作れるのですね。

旬花探訪

高倉なをさんの花産地を訪ねるシリーズ。今回は「竹の器」(モウソウチク)を生産する茨城県土浦市の萩島園芸の萩島一郎さんを訪ねて。

お正月に花屋がなにげなく使っている竹の器ですが、こうやって作られているのか~と感心しました。

竹の需要は激減し、整竹業者は次々と廃業しているそうですが、お正月には竹の器を使いたいという花き業界の需要は根強くあるそうです。地元の竹を切り出して器に加工し、この時期だけ市場に持ち込む人が何人かいたそうですが、高齢化で引退。

そうした中で、萩島さんは関東から全国に向けて、お正月用の竹の器を出荷しています。竹を切り出したあとの大変な作業も紹介されています。

データから読み解く花と暮らし

今回のテーマは「コロナ禍で変わる花の売買」。データを見ると、園芸用植物の購入額は増えていますが、切り花は減少。ヘビーユーザーであるシニア世代の来客が減ったためということです。

ただ、若い顧客が増えていること、異業種からの参入が相次いでいることから、ハイクオリティな花を求めて花屋に足を向けるようになる可能性もあるということです。

お花屋さんも、プロの強みを生かしてがんばるときですね。

今月のバラ

世田谷花きのバラ担当による、毎月バラの品種を紹介するコーナー。

今月は栃木県山口バラ園の『スパークリング グラフィティ』

絞りの赤と白で、特に白の色乗りが最高によいスプレー品種です。個性が強く、使いやすい品種ではありませんが、同系色を生かして花材を選ぶとよいそうです。

まとめ。

花束はお花屋さんにとって日常的な仕事ですが、作り方ひとつでこんなに個性的な仕上がりになるのだと実感しました。贈る側の気持ちをいかに込めるか、が大切ですね。

次号の特集は、「春色!の合わせ方」と「旬のシャクヤクを堪能する」です。いよいよ彩り豊かなお花の季節がやってきますね。楽しみです。

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