おうちで過ごす時間が増えて、切花を自宅で楽しむ人が増えてきています。
でも、
「切花ってなんとなく難しい…」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回、そんな初心者さんに超絶オススメの本を見つけたので、全力で紹介したいと思います。それがコチラ!
『切り花を2週間長もちさせる はじめての花との暮らし』
家の光協会から出版されている『切り花を2週間長もちさせる はじめての花との暮らし』。
著者は、アトリエフィーズ・谷川文江さんです。
切花の本はだいたい
・専門的なテクニック本(プロ向け)
・著者であるフローリストの作品集的な本(素敵な組み合わせやあしらいを眺める)
のどちらかであることが多いのですが、この本は違います。
「選び方から、飾り方まで」とサブタイトルにある通り、『実際に一般の方が花屋やスーパーで花を買ってきて、家でどう扱えば長もちするのか』にフォーカスしてまとめられています。
出てくる花も、本当に買いやすく、誰でも手に入るものばかり。
変わった花材や特殊な色味の品種を使って素敵さをアピールするのではなく、実際に「使える本」。こういう切花指南書は、実は今まであまりなかったのではないかな?と思います。
この本の「ここがスゴイ!」と思った理由
切花の扱いの「基本」がわかる
まず、切花の扱い方の「基本」の解説に、丁寧にページ数を割いています。
・新鮮な花の見分け方
・活けた花の置き場所はどこがいいのか
・買ってきてから活ける前の水あげの基本
・花瓶に入れる水の量
など、知っておけば必ず花もちが良くなる情報がまとまっています。
花がもたないのよ~と言いながらも、買ってきた花をそのまま花瓶の水に入れている人、たっぷりの花瓶の水に活けてしまっている人、たくさんいるのではないでしょうか。
花瓶に活ける前に適切な水あげをする。花瓶の水は少なめにする。日光や風のあたらない場所に置く。
などなど、花屋にとっては当たり前だけど、一般の方には意外と届いていない「基本」がしっかり書かれています。
現実的でイメージしやすい
P.30から始まる「花をアレンジするまでの流れ」は、まさに超現実的な手引き。
スーパーで買ってきたパック束を、パックから取り出し、花瓶に活けるまでの流れが「これでもか!」と細かく解説されています。
ガーベラ・アルストロメリア・カスミソウが入った、ごくごく一般的なパック束を例にしていて、とっても現実的。
それでも、飾り方の例を見て、「パック束ってそのまま束で飾らなくてもいいのか!」と、ハッとする人も多いのではないでしょうか。
それ以外にも、P.42「花束をもらったらどうすればいいの?」や、P44「いただいたアレンジを楽しむには?」など、実際にこういうのもらうよね~という商品を使って、「もらったあとどうすればいいのか」「その後どう楽しむのか」が丁寧に解説されています。
多種類の花を組み合わせるアレンジがない
フローリストの作品集的な本には、いろんな花がミックスされたブーケやアレンジがたくさん並んでいます。どれも素敵ですが、それは現実に一般の人が家で楽しむものでしょうか?
この本の前半には、3種類以上の花を組み合わせる例がほぼ出てきません(いただいたアレンジなどは別)。
実際に家で楽しむ日常的な切花って、そういうものだと思うんですよね。継続的に自宅で花を楽しむなら、毎回豪華なブーケを買うわけにもいきません。
花1種類に葉っぱを1種類。
それを、どうやって長持ちするように飾るか。どうやって手間をかけずに続けるか。
そんなポリシーが貫かれていて、豪華な誌面を作りがちな花の本としては、異色の存在だと思います。自分の日常にすぐ取り入れられるアイデアがいっぱいです。
数値で示した理論がわかりやすい
買ってきた花、どうせならカッコよく飾りたいですね。
でもイマイチどうすればいいのかわからない。どうせ私センスないし…。となっている人、非常に多いと思います。
この本では、バランスよく飾る極意として、花器:花の比率を数値で示してくれています。
完全な初心者の方は、このシンプルな比率を覚えておくだけで、バランスに悩むことはなくなるはず。こういうのも、ありそうでなかった視点です。
雰囲気だけのステキ本じゃない、切花を気軽に楽しむためにまず読んでほしい1冊
以上、この本はスゴイぞ…!と全力でご紹介しました。
ハナラボの仕事柄、切花に関する本は多く読んできた方だと思います。
それでも、ここまで初心者と基本に寄り添った丁寧な本は他にないのでは?と感じました。
珍しい花や、微妙な色の組み合わせなど、「絵的に」美しいフラワーアレンジを紹介した本はたくさんあります。
そういった本と比べると地味に感じますが(失礼)、自宅で花を飾ってみようかな、と思う人にここまで親切な本は他にありません。
「切花を買ってみたけど、なんかうまく飾れない」「上手に長持ちさせられない」と思ったことがある人は、ぜひ一読してみてください。きっと発見があると思いますよ。