結婚式場の仕事の中で、地味ながらけっこう時間をとっているのではないかと思われる仕事のひとつが「下見会場のセット」。
すごく大変、ってわけではないんだけど…
出したりしまったり、また出したり。なんというか、何やってるんだろうなーと不毛な気分になる仕事です。
みなさんの見えないところで、いったい何が行われているか。解説しましょう。
下見会場とは。
これから結婚式を挙げようとしている人は、式場を決めるためにいろんなホテルや式場に見学に行きますよね。
営業さんとしては、ぜひとも見学に来たお客さんをゲットしたい。
そこで会場に、実際の本番さながらのセッティングをして、お客様をご案内します。
「わああ、素敵」「ここで式をあげたいわあ」と思ってもらわなくちゃいけませんからね。ムード大事。
チャペルではバージンロードに花びらが撒かれ、両脇に白い花。
宴会場では、本番さながらにクロスや食器がセットされ、テーブルごとにアレンジメントが飾られています。シャンデリアが輝き、自分たちの披露宴を妄想させます。わあキレイ。
花屋の場合、さすがに毎回本物の花を使うわけにはいかないので、造花で「下見用アレンジ」を制作して各会場ごとに用意しています。
下見セット→撤去→セット→撤去、の不毛
さて、ホテルの宴会場は披露宴だけに使われるのではありません。
平日は普通の宴会や、企業のパーティ、講演会など、用途によってさまざまに会場が作り替えられます。
「披露宴の下見用」の部屋をずっと確保しておくわけにはいかないのです。
すると、どんなことが行われるか。
「今日は13:00~16:00まで○○の部屋が下見会場でーす」と指示があると、
宴会スタッフは時間に合わせて会場をつくります。
丸テーブルを出し、クロスを敷き、食器、シルバー、グラスをセット。
花屋は造花のアレンジを置き、キャンドルを飾り、花びらを撒いて。
そして16時過ぎたら一斉撤収です。
花びらをほうきで集め、造花を撤去しキャンドルを箱にしまい、食器もグラスもテーブルもぜーんぶ片づけて、夜の宴会のためにまた会場を作り替える。
…というようなことを、日々日々繰り返しているのです。
造花の花びらをほうきで集めて袋につめ、またそれを撒いて…と繰り返しているとなんだか不毛な気分になるのは私だけでしょうか。いやまあ、大事な仕事だってわかっているけどさ。
そしてこの造花アレンジも、シーズンごとに作り替えたりするのです。トレンドも変わっていきますからね。
その都度新しいデザインを考えてホテルの営業さんにプレゼンし、造花や資材を仕入れて通常業務の合間にコツコツ制作し、下見セットを更新する…というようなことを地道にやっています。
お客さんは一度しか下見に来ないから知らないと思うけどね。
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結婚式を挙げる立場の方から見れば、「下見」が大事なのはわかります。
しかしこれはなんというか、アナログすぎやしないか。とも思うわけです。
だってオール手動だよ。制作だけに集中したい日にも、この下見セットが挟み込まれてくるんですよ。うーん。
VR(バーチャルリアリティ)とかが発達すれば、いちいち会場を作り替えなくても雰囲気が見られるようになったりしそうなものですが。早く未来よ来い!
昔はいちいち会場をセッティングしていたんだよ、といつか昔話のように語れる日を夢見つつ、今日も裏方は、出したりしまったり出したりしまったりしているのでした。