お花屋さんの業界誌といえば、誠文堂新光社の『フローリスト』。
今年6月号から隔月刊となりましたが、新たな連載も始まり、内容は充実したものになっていますね。
今回は花店のパッケージ&ラッピングの特集。おしゃれなオリジナルの包装紙などを取り入れるお花屋さんも増えてきている昨今、楽しみな内容ですね。さっそく見ていきましょう。
特集:花贈りの喜びが増す花店のパッケージ&ラッピング
オリジナルの紙資材&布性のバッグ
個性あふれるお店の紹介記事です。登場するのは次のとおり。
〇内装、包装紙、紙袋・・・店主の好きなものを詰め込んだ店
gigi fleuriste ジジフル―リスト
2021年1月、南青山に店舗を移転し、それを機に包装紙や紙袋もオリジナルで製作。店主が一目惚れしたお菓子のパッケージのデザインを手掛けていた江種さんに託して製作。店主の思いが込められたデザインは好評だそう。
〇美しく刻まれたカリグラフィーに、店の大切な思いをのせて
Green veil グリーンヴェール
世界的なカリグラファーのヴェロニカ・ハリムさんに綴ってもらったフランス語が印刷されたペーパー。店主がヴェロニカさんにカリグラフィー制作を依頼して実現したそうです。
〇花店にオリジナルパッケージを普及させた立役者
HOSHINO
お花屋さんのブランディングに着目し、オーダーメイドの資材を始めたいきさつや経緯が語られたインタビュー記事。
〇出合いは一期一会のオリジナルブーケバッグ
SORCERY DRESSING ephemeral ソーセリードレッシングエフェメラル
布のブーケバッグが人気のお店。完全オリジナルで、布の買い付けが年に1回のため定番がないこと、布の素材が多様なことが特徴。ブーケとセットでオーダーする人が増えているそう。
〇地元の仲間と作るオリジナルのフラワーバッグ
CHIC FLOWERSTAND×POMPON CAKES シックフラワースタンド ポンポンケークス
エコバッグとして活用できるフラワーバッグを考案した鎌倉のお花屋さんとその仲間の紹介。
個性が光る3者のラッピングテクニック
ラッピングがひと味ちがいます。参考になりますね。
〇duft 若井ちえみ
ネットでのみ行うラッピングの実例
〇Maison Calme 大輪友樹
リボンを効果的に活用する方法の紹介
〇MARRON PAPIER of seoul ユ・ヘヨン
ラッピングペーパーで個性的に包んだ花束
〇コラム株式会社ホワイエ
インドで作られているラッピング資材の紹介
jardin nostalgiqueが作る秋のブーケ
花店「ジャルダン ノスタルジック」の本誌の連載が『ブーケの花図鑑』という書籍にまとめられました。この書籍のために制作した秋のブーケと本の紹介記事です。
ドライフラワーの新提案
ドライフラワーは、今や社会貢献やサスティナブルデザインを意識した新しい取り組みが始まっています。そんな実践を紹介した記事。
〇Tida Flower by TOKYO FANTASTIC スズキトモコ
「小さな森」を表現したランタンや表情豊かな花材を織り交ぜたブーケ。
〇Dried Flower & 古道具 Marca 深田衣美
リースベースや流木を生かしたドライフラワー。
〇山形のドライフラワー専門店 sanka 木川真由、後藤未佳
山形県産の花材を使用したスワッグやボトルフラワー。
〇shine seed 薦岡由加
ヤシの花殻を使ったスワッグやアレンジメント。
〇une brise
蔵造りの街並みで開いたドライフラワー専門店。
〇花や 蔦ひつじ
生花からドライフラワーへの経過が楽しめるスワッグやリースが人気。
〇インタビュー VALFLOR×GOOD NATURE HOTEL KYOTO
ドライフラワーを部屋中に配した客室プランを提供しているホテル。
京都・夷川通で、アーティスティックに四季を表現する花屋 Maestro
カフェを併設した花屋。カフェでくつろぎ、季節を感じながら美しい花に触れるという新たなスタイルを提案しています。
連載記事
新連載 季節の枝物
使いやすい枝物を使ったフラワーデザインを紹介。
10月の枝物は紅葉ヒペリカム。フローラルフォームへの生け方を写真入りで紹介しており、合わせるお花なども秋らしく、参考になります。
11月の枝物は石化ヤナギ。アレンジメントの紹介。
旬花探訪
今回はクルクマの産地、愛知県海部花き連、クルクマ研究会を訪ねて。
切り花農家と鉢物農家が連携して同じ花の生産に取り組む事例です。一般的にはあまり接点がない切り花生産者と鉢物生産者ですが、連携が進んだのはクルクマならではの理由があったから。
クルクマは球根植物で、生産者が自分たちで増殖しなければならない事情があり、そこから連携が進んだそうです。
データから読み解く花と暮らし
今回のテーマは、「花屋になりたい小学生が増えると花屋の売上がアップする」。
小学校1年生に、大きくなったらなりたい職業をアンケートすると、花屋は3~4位だそうです。ただ、新1年生女子が花屋になりたい割合は減っているとのこと。それは、親世代の花の購入額が関係しているから。
どうしたら若い世代を顧客として定着させることができるか・・・。お花屋さんにも時代に合った取り組みが必要ですね。
ボタニカル・メタモルフォーシス
今回はタイサンボクの葉を重ねた造形。葉をワイヤーでつなげ、立体感あふれる作品に。葉を使ってこんな造形美豊かな世界をつくりあげるなんて驚きです。
今月のバラ
世田谷花きのバラ担当による、毎月バラの品種を紹介するコーナー。
今月は、神奈川県秦野市、石井バラ園の『アヴニール+』。
ニュアンスカラーが魅力的な品種で、これからのシーズンにぴったりということです。
まとめ。
花店のパッケージ&ラッピングの記事を読むと、お花屋さんもいかに消費者の気持ちに沿って個性を発揮していくか、という新たな時代に入ったんだなぁと実感。でも、将来の展望が開ける記事でもありました。
次号の特集は、「クリスマスリース大集合」、「花+aのギフト」。いよいよ年末に向けた特集ですね。楽しみです!