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2023年NHK朝の連ドラ「らんまん」の主人公!牧野富太郎は何をした人?

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2023年前期のNHK朝の連続ドラマに、植物学者・牧野富太郎が主人公として描かれることが発表されました。タイトルは「らんまん」!


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植物の仕事をしていると、「牧野富太郎」や「牧野図鑑」は耳にしたことがあるかもしれませんね。でも、実際なにをやった人なのか?どこがすごいのか?をきちんと理解している人は多くないのではないでしょうか。

お花屋さんやフローリストのみなさんにも、植物業界人のひとりとして是非知っておいてほしい人物・牧野富太郎。

今回はその牧野富太郎博士の業績や人柄について、「いったい何が、ドラマになるほどすごいのか?」に注目してまとめてみました。

日本の「植物分類学の父」

植物分類学とは?

植物分類学とは、地球上に存在する様々な植物を認識して記録し整理してまとめ、共通の知識として利用できるように秩序立てて体系化する学問です。

つまり、新しい植物を発見し、記録し、名前をつけて分類すること。

植物学者は植物を採集し、標本をつくり、スケッチを描き、今まで登録されている植物と違うことを鑑定する…という作業をしています。現在でも当然それは続けられており、毎年新しい植物が発見・登録されていますね。

江戸から明治、学問としての植物学の発展

牧野富太郎が生まれたのは、江戸時代の終盤である1862年の高知(当時の土佐藩)。時代が大きく変わり、新しい学問が西洋から入ってくる頃です。

それまでの植物学は「本草学」といい、薬草や人間の生活に役立つ植物の学問が中心でした。現在の「植物分類学」にあたる研究はまだ進んでおらず、日本は西洋に遅れを取っている状況だったのです。

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94年の生涯をかけて、日本の植物分類学の道筋をつけた人

そんな時代、若き日の牧野富太郎が立てた目標は

「日本に生育するすべての植物を同定し、学名を定めて分類体系に位置付ける」!

これがどれだけ大変なことか、ちょっと想像してみてください。

しかし牧野はだれよりも情熱的に、日本中の膨大な植物を採集し標本を作り、学名をつけました。

収集した標本は40万枚。牧野が発見した植物の新種や新品種は、生涯で1500種類以上にのぼります。

その生涯の集大成ともいえる「牧野植物図鑑」は今でも版を重ね、使われている図鑑です。まさに日本の植物分類学の基礎を作った人というわけです。

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牧野富太郎のここがスゴイ!4選

独学の人である

牧野富太郎は小学校中退。高知の野山で植物を採集し、舶来の植物書を読みこみ独学で学んでいます。

スケッチのうまさとその行動力で東京大学の植物研究室に出入りするようになり、あまりの情熱とすごさに教授陣も協力してくれるようになりました。最終的には東京帝国大学(現・東京大学)で講師になっていますが、学歴は小学校中退という破天荒な経歴です。

超精密な植物画と印刷へのこだわり

牧野富太郎のすごさのひとつは、超精密に描かれる植物画(スケッチ)。写真のない時代ですから植物はすべて絵に描くわけですが、細かな特徴まで捉えた超精密なスケッチには大学の教授たちも驚いたといいます。

さらに東京に出てきてからの牧野は、雑誌や図鑑を刊行するようになりますが、図版の印刷に関しても厳しいこだわりを見せます。線の一本一本まで美しく印刷するために、みずから印刷所に通って印刷技術を学ぶほど。

インクの色まで細かに指定し、印刷にもいっさい妥協をしなかったそうです。

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研究に没頭しすぎていつも貧乏

牧野はとにかく研究ひとすじ。生まれた実家は裕福な商家でしたが、舶来の書籍や図鑑をばんばん購入しお金を使いまくります。

東京に出てきて家庭をもってからも、研究や専門雑誌の刊行などに惜しみなくお金を使い、生活は二の次。借金はどんどんかさみ、家賃が払えなくなり引っ越すこともしょっちゅう。

妻・スエは富太郎をよく理解し、その生活を支えていました。13人の子供をつくり、借金取りに追われつつも植物ひとすじにかけた富太郎とスエがNHKでどのように描かれるのか、興味深いところです。

それでも人気者の、愛されキャラ

お金にはいつも困っていた富太郎ですが、その研究成果を見込んだ人たちに何度も助けられています。また、講演や観察会など呼ばれれば日本全国どこにでも行き、ユーモアたっぷりでいつも人気者。

全国のアマチュア愛好家と同好会をつくり、採集の指導や講演を行い、多くの人に植物学の魅力を広める教育普及活動にも熱心でした

全国のアマチュア愛好家から広く標本をつのって鑑定をし、質問状にも丁寧にこたえていたそうです。研究者だけでないネットワークを大事にしており、それが植物学の発展につながると考えていたようです。

第一人者でも偉ぶることなく、とにかく植物学が発展することにかけた人生。

この時代の人にしては珍しく、おちゃめな写真がたくさん残っており、愛されキャラがうかがえます。

90歳を超えても精力的に活動し、病床でも植物を観察し標本をつくっていたとか。まさに天真爛漫、周りの人を巻き込んで、日本の植物学を発展させた人物であることは間違いありません。

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もっと牧野富太郎を知りたい方に

牧野植物園(高知県)

植物好きなら一度は行ってほしい、日本トップクラスの植物園のひとつです。高知市からほど近い五台山にあり、山の地形をいかして様々な植物を見ることができます。

亡くなる直前に設立がきまり、富太郎自身が「五台山がいい」と言ったことから作られた植物園。開園したのは富太郎が亡くなって1年たった1958年でした。

もし生きて完成を見ることができたら、どんな感想をもったんだろうな。記念館やレストランもとてもオシャレ。高知観光の際には是非。

高知県立牧野植物園ホームページ

牧野記念庭園・記念館(東京都練馬)

晩年の牧野が暮らした東京の家が、記念庭園・記念館として公開されています。四季折々の植物を見ることができます。

牧野記念庭園情報サイト

おすすめ書籍

子供向けの伝記ですが、読みやすくまとまっているのでおすすめ。牧野富太郎の生涯と功績がわかります。

―――

「日本植物学の父」と言われる牧野富太郎。功績はもちろんですが、人間性やそのキャラクターがいつまでも人を魅了しているのかもしれません。

今回ドラマ化されることで、多くの人に「植物学」を伝えるきっかけになるのではないかと思います。これも牧野博士の作戦なのかもしれませんね。

2023年のNHK朝ドラ「らんまん」、ぜひ楽しみに見たいと思います!

参考図書

・牧野富太郎の本
・まきの1/2世紀 高知県立牧野植物園50年の歩み本
(公益財団法人高知県牧野記念財団発行)

 

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