読書メモ

【月刊フローリスト】2021年3月号 読書メモ

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お花屋さんの業界誌といえば、誠文堂新光社の『フローリスト』


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お花の仕事をしていると、毎月なんとなく目を通している人も多いのではないでしょうか。

かくいう私もその一人ですが、いつもパラパラ読んで終わってしまうので、内容メモを作ることにしました。

3月号は、「元気を届けるアレンジメント」。先月の花束特集に続き、今月はアレンジメント特集です。

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特集.元気を届けるアレンジメント

巻頭は38ページにわたって、様々なお花屋さんによるアレンジメント紹介。

「かわいい」+「黄色オレンジ系」など、テーマ+色に沿って作られたアレンジメントが並びます。

形容詞としては「かわいい」「ナチュラル」「モダン」の3種類。オーダーはだいたいこの3種にわけられるのかもね。

その後16ページにわたっては、「家に春を連れてくるアレンジメント&花束」として4店舗の人気お花屋さんを取材した記事。アレンジメント特集というか、お花屋さん紹介ですね。

64ページからようやくテクニック的な記事。

「器とのスタイリングで魅せるラグジュアリーなアレンジメント」として、フロストグラスの器と、金属製のコンポートを使ったアレンジメントを紹介。GALARIE HANAZENの藤原亜希子さんによる作品。

「テクニックと発想力でアレンジメントの顧客満足度を高める」では、Zukkyの鈴木さんによるレッスン。

予算内でコスパよくアレンジをつくる花の選び方やボリューム良く見せる方法、スタイル指定のオーダーへの応え方など、実践的で面白い内容。

アレンジメント特集を銘打つなら、後半のような実践的な内容がもう少しあるといいのになあ、というところ。


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春だから飾りたい、ピンクと赤の花図鑑

今の時期に使いたい花を、ピンクと赤の品種にしぼってまとめた花図鑑。

チューリップ、アネモネ、ラナンキュラス、フリージア、ヒヤシンス、シンビジウム、バラ、ガーベラ、ストック、スナップなどなど、色でまとめて並べるときれいですね。

「生産者支援」って一体なに?

コロナ禍で一気に注目が集まった「生産者支援」。飲食店が閉まることで農産物や海産物があまってしまい、消費者が直接購入して応援しよう!という取り組みがずいぶん紹介されましたね。

お花の業界でも、「生産者支援」の名のもとに、産地直送の花が安く買えるサイトなどがいくつか立ち上がり、マスコミなどに紹介されることで大きな注目を集めました。

でもこれって本当に「生産者の支援」につながっているの?

生産者側からのアンケートをもとに、廃棄・規格外の花の取引について考えることをテーマにした2ページの特集です。

アンケートに答えているのはだれもが知っているような有名産地をふくむ38軒。

「生産者は花店に何を求めているのか」「花は本当に廃棄されているのか」「コロナ禍で廃棄する花を無償でほしいという連絡がふえた」など、リアルな声が集まっていて読み応えがあります。

この特集を読む限りでは、

「コロナ禍につけこんで、普段取引がないような業者から無償で花をもらえないか連絡が多くなった→生産者としては嫌な気持ち」

「そもそも廃棄はあんまりしてないし、規格外の花は地元の直売所や自社販売でやっているので無駄にはしていない」

「生産者支援を前面に出すのなら、お互いにとってメリットのある形で長く続けてほしい」

などなど、全体として「生産者支援」を前面に出す活動について冷ややかな目で見ている印象。

もちろん全部がそうだとは言わないけれど、生産者から無償で花をもらって、同情をひいて売って儲けようとする中間業者がいたということは想像に難くありません。

消費者としても、「この活動は本当に生産者の支援になっているのか?」見極める目が必要になりそうです。

また、生産だけを守れればいいのか、というのも突き詰めると難しいところ。

困っている生産者から直接花を買えるインフラが整ってきている現状で(今回、自社で販売サイトを立ち上げた生産者さんも多いでしょう)、市場や流通、販売する生花店の存在意義は?というのも考えなければなりません。

この特集では「生産、販売、どちらも成長し続ける花業界を目指そう」としめくくっています。SNSなどインターネットのインフラが普及したことで、旧来とは違うかたちを模索していかなければいけない部分も出てきそうですね。

ヴェール・デ・グリの季節のギフトレッスン

毎月お店で使えそうな商品の作り方やワークショップのやり方を紹介してくれるコーナー。今月はバレンタインにぴったりの、『お菓子風アレンジメント』

白やピンクのフローラルスポンジとプリザーブドやアーティフィシャルの木の実を使って、まるでお菓子のようなミニアレンジの作り方を解説。

私も昔いたお花屋さんでこういうの作っていたなあ…よく売れるんだよね…など懐かしい思いで読みました。

店頭に置いておけば売れるのは確実なんだけど、生花を扱う花屋さんでこういう雑貨的な商品をつくるところまで手が回らないんだよね。いい商品を仕入れられるか、ハンドメイド得意な人に外注する仕組みとかあるといいかもね、と思いました。

今月のバラ

世田谷花きのバラ担当による、毎月バラの品種を紹介するコーナー。市場入荷から数日後の開いてくる姿や生産地の情報がありがたい。

今月は、神奈川県・大沢園芸の『ガブリエル』。土耕栽培で安定した品質をたもつ、ファンの多い産地のひとつ。

白に近い、淡い紫がモダンな印象のバラ。花弁がデリケートなので、出荷時には傷かつかないよう配慮されているそう。たしかに市場ではすごくつぼみの状態。日数がたてばちゃんと開いてきて、ふんわりと丸みのあるバラになります。

まとめ。

今月号は先月に続き、お花屋さん紹介が多いな~という印象でした。コロナ禍で注目された「生産者支援」について切り込んだ特集がとてもよかった。みんなが考えるきっかけになるといいと思います。

来月号は、「花に合う器」。花と器の合わせ方は奥が深く、勉強しがいのあるテーマ。期待しています!

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