本当に使える花言葉リスト制作中!
お花屋さんで買える切花の花言葉

お花屋さんで働く私たちが「花言葉」にこだわるのが嫌いな理由。

お花屋さんで働いているとよく聞かれることのひとつに、「花言葉」があります。

「この花の、花言葉はなんですか?」

「こんな花言葉のある花はないですか?」

などなど。

 

どうせ花束を贈るなら、花言葉もからめて贈りたい!

そんなお客さんの気持ちはよくわかります。

わかります。が…

 

「本当は、花言葉にこだわる人、嫌なんですうぅぅ!!」

と思っている花屋スタッフが多いのです。本当に。

 

どうして花屋は花言葉にこだわるのを嫌うのか。花屋の中の人として、解説してみたいと思います!

 

 

そもそも「花言葉」とは。

そもそも「花言葉」って誰が決めてるの?適当につけたんじゃないの?なんて思ってしまう人もいるのでは。花言葉がうまれた歴史をざっとおさらいしましょう。

花言葉の起源

花言葉がいつ生まれ、広がっていったのか。

今私たちが話題にしているような「花言葉」の起源は、アラビア地方の「セラム」といいう風習にあると言われています。

セラムとは、花や果物や絹糸などの小物に意味を込めて贈り、気持ちを伝えるもの。同じ韻を踏むほかの言葉を暗示する表現方法で、たとえば「洋梨(armmoude)」を提示すると、言葉が似ている「希望(omoude)」を意味する、といったようなものです。

セラムは「花」に限ったことではないのですが、この風習がトルコからヨーロッパに伝えられ、「花に意味を込めて気持ちを伝える」という花言葉の誕生につながったようです。これが18世紀頃のこと。

 

19世紀には、フランスやイギリスを中心に豪華な花言葉の本が作られ、人々の間で流行しました。日本にはこれが明治時代初期に伝わったと言われています。

世界中で行き来がはじまり、珍しい植物が海を渡ってヨーロッパに持ち込まれ、育成や改良の技術も進み、自然科学が発展した時代だったこと、印刷技術が広まった時代だったことなんかも関係しているのでしょう。

 

もっとも、19世紀ヨーロッパで「花言葉」が体系化されるよりずっと昔から、あらゆる地域で〝特定の植物に何らかの意味を与えること”は行われていました。

ヒトと植物の付き合いは長い。神に捧げる植物や、特別な意味を持つ植物、神話に登場する植物などは古くからあったのです。

たとえば古代ローマやギリシャでは、月桂樹は勝利と栄冠のシンボル。今でもオリンピックでマラソンの選手が月桂冠をつけたりしますよね。平安時代の日本でも、恋文に花枝を添えて贈ったりしています。

 

・「花言葉」の起源は、アラビア地方の「セラム」という慣習らしい。

・それが18~19世紀にヨーロッパで流行し、「花言葉」の文化が定着した。

・「植物に意味をもたせること」自体は、ヒトは太古の昔からやっている。

 

花言葉はどうやって決められたの?

「この植物=この言葉」がどうやって決められたかということに関しては、いくつかのパターンがあります。

古い神話や伝承をベースにするもの。植物自身の見た目や特性に由来したもの。セラムのように、言葉が似ていることから付けられたもの。などなど。

19世紀のヨーロッパで付けられたものがすべてではなく、イギリスとフランスで花言葉が違うものもありますし、国によって新たに考案されたものもあります。植物には地域差がありますから当然ですね。

日本の場合だと、明治時代にヨーロッパから伝わった花言葉に、日本固有の植物を加えて新たに花言葉を作ったり、独自にアレンジを加えたりしながら現代へ続いていると考えられます。

 

最近だと「青いバラ=夢かなう」という花言葉がありますが、これは青いバラの育種改良を成功させたサントリーフラワーズがつけた花言葉です。

「植物に特定の象徴的な意味をもたせる」という行為は、人類の歴史で古くから行われていること。しかしその内容は固定化されておらず、日々アップデートされているわけですね。

・花言葉の付け方には「神話や伝承によるもの」「見た目や性質から連想したもの」「名前が似ているもの」などのパターンがある。

・現代でも、新しい花言葉は作られている。

 

花言葉は解釈によっていろいろある

以上のような経緯があるため、「この花の花言葉はコレだ!」という1つの正解があるものばかりではありません。「バラ=愛」のように、全世界的にみんなが「そうだよね」と納得できるものばかりではないんですね。

国や地域によって、色や香りのもつイメージは違ったりします。

図鑑を調べてもひとつの花にたくさんの意味があったり、正反対の意味の花言葉が含まれていたりするのは、そういった複雑な歴史があるから。一概に、「この花の花言葉はコレです!」と言えないことが多いのです。

 

・花言葉は、ひとつの正解があるわけではない。

・国や文化によって解釈が違う花言葉もあるので注意。

 


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花言葉にこだわるより、気にしてほしいこと。

「花言葉を…」とお客さんに言われたとき、花屋はちょっとだけガッカリした気持ちになったりします。それはなぜか。

「花言葉」で縛っちゃうと、お花のいいところを見てもらえないことがあるからです。詳しく見てみましょう。

いい意味の花言葉ばかりじゃない。

花言葉には、いい意味のものばかりではありません。神話や歴史に基づいてつけられた花言葉には、悲しい意味や残念な意味があるものも多いのです。

たとえば、「アジサイ=移り気」とか。「黄色いバラ=嫉妬」とか。「スカビオサ=叶わぬ恋」とかね。

花言葉重視で花を選ぶと、こういうお花は使いづらくなってしまいます。叶わぬ恋とか言わないでー!(涙)

花言葉より、その花そのものを見てほしい

でもでも!6月の瑞々しいアジサイはとっても綺麗。鮮やかな黄色いバラは元気が出る色だし、スカビオサもすごく可憐で可愛い花なんです。

その花の可愛さや、旬の美しさ、きちんと生産されて切花として安心感のある素材であること、などなど、オススメしたい要素がたくさんあるんです。

 

「この花言葉で!」といって探してくるお客さんには、

「今の時期ならこの花が綺麗なのになあ…」「今日の入荷なら、これがイチオシなのになあ…」

と、心の中で残念に思っていることもあるのです。

ちまたに出回っている花言葉情報の「使えなさ」。

花言葉をからめて花束を贈りたいと思ったお客さんは、図鑑やネットで調べてご来店される方もいらっしゃいます。

でもちょっと待って!その情報、花屋的には全然「使えない!」ことが多いんです。しくしく。

花言葉図鑑やネットまとめは「使えない」。

まずは書籍としての「花言葉図鑑」。これはハッキリ言って「情報が多すぎ」です。

バラやカーネーションも載ってるけど、タンポポやスミレやクローバーも載ってる。そんな道端で咲いてる花は、切花で花屋には並びません。

あと、見たことないようなマニアックな花も載っています。これは、伝説や花言葉の歴史を重視して花を選んでいるから。古代ヨーロッパでは使ったかもしれないけどさあ。日本の花屋にはありませんって…!

逆に、切花として花屋には並んでるけど載ってない…みたいな花もあります。花として歴史が浅く、特に伝説や伝承もない花に多い。花屋的にはメイン花材のひとつである「トルコキキョウ」が載ってないよ!なんて本もありました。

 

ネットの情報も同じく、切花として出回っていない花も含めた情報が多い。ただ、上手に検索すればそれなりに、それらしいものが出てきます。

でも、切花としての出回り時期やよく出回っている色、価格帯など、「花屋さんで買う前提」の情報はあやしいものが多い。ほとんどは、花屋や花市場など切花の専門家が発信している情報ではないからです。ここは我々花業界の人間の怠慢かもしれません。

花束をつくる材料としての花=切花として出回っている花

現代の日本で花屋が花束をつくる材料は「切花として生産され、流通している花」です。

道端に生えているような花や、鉢植えでしか流通していない花はダメです。また、欲しいと思っても、流通している季節が限られるものもあります。

そこにフォーカスしてまとめている花言葉図鑑はほとんどない。また、ネットまとめなどでは、出回り時期など正確な情報がないことも多い。

だからお客さんが調べてくる花言葉の情報と、花屋さんに並んでいる切花の間でミスマッチが起こってしまうのですね。

 

それでも「花言葉」を使いたい人のために。

それでもやっぱり花言葉を気にしたいお客さんは多いです。贈る側の気持ちになれば、その気持ちもよくわかる。贈るとき、話のネタにもなりますしね。

そこで…

「花屋で買える切花」の花言葉だけを集めたリストをつくります!!

既存の「花図鑑」などは、いろんな植物を網羅していてノイズが多すぎるのです。歴史を考えればそれも大切なことだけど、実際の花贈りには大変使いづらい。

そこで、「花屋で売っている」「花束に使える」花だけを集めた花言葉リストを作ります!

切花として手に入れやすい花の花言葉リストに加え、「お祝い」「送別」「お見舞い」「プロポーズ」など用途に合わせた花言葉から、切花のリストがわかるようにもするつもり。

 

悲しい意味や悪い意味を含む「残念な花言葉」についてはどうしようかなーと思いましたが、どうしても避けたい人のために、それはそれでまとめてみようと思います。

 

お客さんも、お花屋さんも使いやすい「花言葉」へ。

 

このブログで随時更新していきますので、どうぞお楽しみに!

 

「お花屋さんがまとめた、本当に使える花言葉リスト」目次はこちら。

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参考文献

『花ことば ―起源と歴史を探る―』 樋口康夫
『花ことば 花の象徴とフォークロア』 春山行夫